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琳派400年:宗達と光琳のふたつの風神雷神図屏風が複製で夢の競演@京都・建仁寺

Posted by takumi suzuki on 19.2016 【今日のコロタイプ】    0 comments   0 trackback
24日は榊原吉郎先生による記念講演会も開催!
2016年1月16日(土)-1月31日(日)@京都・建仁寺

風神雷神・建仁寺1
コロタイプ版 尾形光琳筆「風神雷神図屏風」⇒制作プロジェクトについて詳しくはこちら

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平島です! 現在開催中の琳派400年記念イベントのお知らせです。
昨年11月、京都文化博物館で皆様にお披露目させていただいた尾形光琳筆「風神雷神図屏風」・酒井抱一筆「夏秋草図屏風」コロタイプ復元複製屏風が、一味違う展示で京都・大本山建仁寺の大書院において絶賛展観中です!(1月31日(日)まで) 今回は、建仁寺所蔵の俵屋宗達筆「国宝 風神雷神図屏風」複製品(制作・寄贈/キャノン・ 京都文化協会)と一緒に展示され、宗達が描いた風神雷神図を光琳がいかに写したか見比べて頂くことができます!

コロタイプ復元複製屏風プロジェクト公式HP http://benrido.wix.com/rimpa-collotype


建仁寺展示4
建仁寺本坊。現在「禅と武と画の生涯」と題した海北友松筆の方丈襖絵も特別公開中です! 詳しくはこちら

畳が敷かれた広い書院で、陽の光や風を感じながらご覧いただける機会はまたとございません。金箔・銀箔が不規則に輝き、また書院の障子の影が落ちた屏風は、お庭の見える風景と見事に調和しています。朝日を浴びた風神雷神図は金箔の箔目が美しく、仄暗い書院の風神と雷神を照らします。そして夕方になると夏秋草図が夕日を浴び、一日のうちに色々な表情が楽しめます。

建仁寺展示3
奥に見えるのが宗達筆「風神雷神図屏風」(複製)。手前はコロタイプ版 光琳筆「風神雷神図屏風」。裏面は酒井抱一筆「夏秋草図屏風」となった復元屏風です。ふたつの風神雷神が対峙しています!


■建仁寺に宗達作「風神雷神図屏風」がある理由

建仁寺展示5
宗達筆「風神雷神図屏風」(複製)

宗達筆「風神雷神図屏風」の所蔵は建仁寺ですが、もとは京都・宇多野の妙光寺にあったと伝えられています。妙光寺は応仁の乱以降荒廃しておりましたが、江戸時代初期に、建仁寺霊洞院の僧・才林慈俊により再興されました。伝来によると宗達筆「風神雷神図屏風」の依頼主は慈俊、あるいは再興の資金を提供した宇陀公軌という豪商であると考えられています。妙光寺は建仁寺霊洞院に付属しており、文政12年(1829)、六十三世全室慈保が建仁寺に移る際に持参したと伝えられています。

展示されている複製は、 キャノンと京都文化協会が立ち上げた「綴プロジェクト」によって2011年に建仁寺に寄贈されました。キャノンの持つ最先端のデジタル技術による12色のインクジェットプリントに伝統技術を施した複製品です。⇒日経新聞社記事「京都文化協会とキヤノン、高精細で複製した国宝作品を建仁寺へ寄贈 」(2011年2月9日付)

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このような形で、光琳の「風神雷神」抱一の「夏秋草図」が両面仕立てになっています。

一方、光琳筆「風神雷神図屏風」は、光琳が妙光寺において、宗達筆「風神雷神図屏風」を実際に見て、その上をトレースして写したと言われています。抱一筆「夏秋草図屏風」が光琳筆「風神雷神図屏風」の裏面に描かれることになったその経緯と見どころにつて詳しくは⇒こちら!「風神雷神図と夏秋草図 -ふたつの屏風の物語-」

本展では「風神雷神図屏風」とゆかりの深い建仁寺において、宗達・光琳両者の「風神雷神図屏風」を向かい合わせで展示しており、両屏風をぐるりと見比べて頂くことができます。さらに光琳筆「風神雷神図屏風」の裏には本来描かれた山折りの状態で抱一筆「夏秋草図屏風」が復元されており、琳派の系譜をご確認いただくことができます。そして、最先端デジタル技術で制作された複製と150年前の技術で作られた複製の両方を堪能できるめったにない機会です!


■記念講演会■(定員50名様 申込制、絶賛受付中!)

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京都市立芸術大学名誉教授・榊原吉郎先生 
写真/京都府HP「京都から、世界をも魅了した美の系譜「琳派―RIMPA―」」より転載

開催日:2016年1月24日(日)午後1時30分から午後3時
聴講料:無料(ただし本坊拝観に別途料金必要)
講師:榊原吉郎先生(京都市立芸術大学名誉教授)
開催場所:大本山 建仁寺 大書院
申込方法:プロジェクト公式ホームページまたはお電話にて
URL:http://benrido.wix.com/rimpa-collotype
電話:075-231-4351
※講演会開催場所と展示場所は同じ大書院ですが、1月24日の講演会中も一般の方にご覧いただけるようにしています。


光琳「風神雷神図」抱一「夏秋草図」両面屏風玻璃版複製完成!

Posted by takumi suzuki on 10.2015 【今日のコロタイプ】    0 comments   0 trackback
ただいま京都文化博物館で好評公開中! 14日には小林忠先生の記念講演会も開催!
2015年11月3日(火)-12月6日(日)@京都文化博物館 2Fコネクションホール(入場無料)

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秋の行楽シーズン真只中の京都では、琳派400年紀念祭のイベントも花盛りです。
便利堂では、この琳派400年を記念して《尾形光琳筆「風神雷神図屏風」復元里帰り実行委員会》立ち上げ、文化財を護り伝える技術を持つ方々と共に複製プロジェクトに取組んできました。なかなか一筋縄ではいかない大変な作業でしたが、この度無事完成し、11月3日より京都文化博物館にて一般公開を好評開催中です。今週末の14日は、小林忠先生の『京(みやこ)への里帰り 表裏一体屏風 光琳「風神雷神図」と抱一「夏秋草図」』と題した記念講演会も開催されます(詳細文末)。

⇒京都新聞記事「風神雷神と夏秋草、表裏一体に 本来の姿に複製復元
⇒プロジェクト公式HP http://benrido.wix.com/rimpa-collotype

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完成した尾形光琳筆「風神雷神図屏風」(原本所蔵:東京国立博物館 重要文化財)

この風神雷神図屏風は、新町通り二条下ルにあった光琳の屋敷で書かれたといわれ、この複製によって里帰りを果たしたということになります。竹屋町下ルの便利堂の工房とも目と鼻の先、ご縁を感じます。

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風神雷神図の裏面には、光琳に私淑した酒井抱一の夏秋草図が描かれていました。現在は保存のため別々の屏風に仕立て直されているので、もともとのオリジナルの姿が見れるのは複製ならではです。展示は360度、ぐるりとどの角度からでも鑑賞いただけます。夏秋草図屏風は現在真ん中が谷折りになっていますので、本来の裏面に書かれた山折りの状態が抱一の意図した構図です。ぜひその素晴らしさを原寸複製の迫力でご確認ください。⇒「裏面の夏秋草図はどう見える?」

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川面美術研究所の荒木かおり所長(左)と大入の大入達男社長

このプロジェクトは、琳派400年に際し何か我々のもつ技術で貢献できないか、ということで始まりました。このプロジェクトを通して一人でも多くの市民の方々に文化財を護り伝えることの大切さを再認識していただき、文化財保存における複製の役割や、その制作を支える伝統技術の存在を知っていただきたいと思ったからです。主旨にご賛同いただいた多くの方々のご支援をいただき、無事完成の運びとなりました。この場をお借りし、厚く御礼申し上げます。

プロジェクトの実行委員には、長年コロタイプ複製制作にご協力いただいている川面美術研究所さんと大入さんに参画いただきました。川面美術研究所は、明治から続く模写、復元、彩色などの文化財修復のエキスパートです。先代の川面稜一先生は、便利堂ともゆかりの深い法隆寺金堂壁画の模写事業において入江波光斑助手として参加されていました。和装本や表具を専門とする経師・大入も多くの文化財修復を手掛けています。今回川面さんにはコロタイプ刷の後の補彩仕上げ、大入さんには屏風仕立てをお手伝いいただきました。


作業を振り返る

風雷1
6月30日 東京国立博物館さまからご提供いただいたデジタル画像からようやく製版作業にとりかかる。

準備の遅れから、ようやく作業がスタートしたのは6月下旬でした。通常ですと、作業にかかる前に撮影時などに原本チェックを行うのですが、今回は画像提供であったことやタイミング的なこともあり、原本チェックは校正時となりました。つまりオリジナルの色調が未確認の手探り状態での作業進行です。

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7月16日 ようやく部分的なテストピースが第1弾。まだすべての色が入っていない状態。

風雷2
7月27日 原本チェックに向けた最終テストピース制作作業。だんだん色が重ねられていきます。

風雷3
同日 10色目の雲の補色を入れてこの部分は完成。 今回の刷担当の尾崎君。

風来4
8月5日 8日が原本チェックですがギリギリまで作業は続きます。
何度か部分的なテストピースを重ね、なんとかこちらの思う色調に仕上げて原本チェックに臨みました。

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8月8日 川面美術研究所の荒木所長、北尾さんにもご同行いただき原本の色調のチェックと、テストピースの校正@東京国立博物館

風雷5
同日 いいところもあり、今一歩のところもあり。

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9月7日 金箔貼り加工のテスト(中央はコロタイプ刷ままの状態)。

金箔の下にはコロタイプ刷りで地色をひいています。
地色のわずかな差でも金箔の見え方は大きく変わるもの。原本の雰囲気と色合いに近づくように、上に金箔がのった状態を想像して印刷します。

金箔は本金を使用。金箔貼りの仕方については、まず3種類の方法でテストしました。
①金箔地の上にコロタイプ刷りを行う
②画を刷ったあとに、画以外の部分に金粉をまく
③同じく画を刷ったあとに、画以外の部分に金箔を貼る

現物校正時にこの3種類の方法で作った校正刷を原本と見比べ、採用したのが③の方法です。
部分的に仕上がったコロタイプ刷に③の方法で最終テストしたものが上掲の写真です。
中央が金箔をはらないコロタイプ刷のままの状態。その左右に古色などの調子を変えてテスト貼り。左の調子に決定しました。

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全部で16分割。8月下旬から本番刷にかかり、順次仕上げていきます。

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9月16日 すべてのコロタイプ作業が終了しました。あとは金箔貼り加工、補彩仕上げ、屏風仕立ての工程です。

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10月30日 仕立てあがった屏風に再度仕上げの補彩作業。北尾さんは補彩作業中に、現在京都国立博物館で開催中の「琳派 京(みやこ)を彩る」で展示中の風神雷神図屏風をチェックのために3回も見に行かれたそうです!

北尾さんによると、「風神雷神図」はたらし込みの墨の入れ具合が、「夏秋草図」は濃厚な色彩の再現が、それぞれ最も苦心した点であり且つやりがいのある作業であったとの事。

こうしてみなさまのご支援のもと、無事複製が完成いたしました。本当にありがとうございました。
11月1日には琳派400年記念「古典の日フォーラム2015」会場にてプレお披露目をさせていただきました!
⇒くわしくはこちら
2日には記者発表も開催、新聞各社に取り上げていただきました。

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京都新聞記事「風神雷神と夏秋草、表裏一体に 本来の姿に複製復元

展示は来月6日まで。ぜひこの機会にご鑑賞ください!

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        ◆

■尾形光琳筆「風神雷神図屏風」・酒井抱一筆「夏秋草図屏風」
復元複製里帰りプロジェクト完成記念特別展示


[期 間]
平成27年11月3日(火・祝)~ 12月6日(日)
[休館日]
月曜日(ただし祝日の場合は翌日)
[場 所]
当館2Fコネクションホール(入場無料)
[問合せ]
京都文化博物館(TEL. 075-222-0888)

■プロジェクト完成記念講演会
 『京(みやこ)への里帰り 表裏一体屏風 光琳「風神雷神図」と抱一「夏秋草図」』


会期中に同プロジェクト賛同人代表である小林忠氏の記念講演会を実施します。
展示される再現屏風の見どころや尾形光琳・酒井抱一について、楽しく判りやすくご講演いただきます。

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[日時]
11月14日(土)10:30~12:00
[会場]
当館3Fフィルムシアター
[定員]
160名(先着順) 入場無料
[講師]
小林忠氏(学習院大学名誉教授・岡田美術館館長)
[問合せ]
京都文化博物館(TEL. 075-222-0888)

⇒お申込みはこちら

       ◆

便利堂コロタイプギャラリーでは

尾形光琳筆「風神雷神図屏風」復元複製里帰りプロジェクト連動企画
琳派を楽しみ、琳派にふれあうコロタイプ写本展

好評開催中。今週末まで。こちらもあわせてお立ち寄りください!

【期間】
10月24日(土)~11月15日(日)
11:00~18:00 無休



初挑戦! コロタイプ用大全紙カメラで野外撮影をやってみた!

Posted by takumi suzuki on 12.2015 【今日のコロタイプ】    0 comments   0 trackback
倉庫に眠っていた超大型アナログカメラ、復活への道

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先日、真夏の炎天下、便利堂本社の屋上から望む比叡山を超大型アナログカメラで撮影しました!今回はそのレポートです。じつはこの超大型カメラ、本来はコロタイプ用のカメラなのです…

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コロタイプギャラリー支配人の藤岡です。
コロタイプで絵画や文書などを複製する際、仕事のはじまりは原本の撮影です。コロタイプは、ゼラチン版にネガを密着露光しますので、原寸大の複製をプリントするためには、原寸大のネガが必要となります。つまりそのためには原寸で撮影できるカメラが必要ということになります。そこで主力となったのは、大全サイズ(20×24インチ=50.8×61.0㎝)の特注モノクロフィルムが装てん可能な超大型カメラです(上の写真)。つまり、8×10(エイト・バイ・テン)の6倍の大きさです!

昭和45年(1970)便利堂が独自に開発し(国宝「伴大納言絵巻」〔出光美術館蔵〕原寸大複製のタイミングです)、いまでも写場に据え付けられ、もちろん現役で使用可能です(最大22×28インチまで撮影可)。原稿を平台にセットし俯瞰の状態で、ミラーを通して膜面が正画になるようにして撮影します(なぜ膜面が正画にならないといけないかについては⇒こちら)。一連の操作は、カメラの内部にひとが入って(!)おこないます。その形状から、社員は「タテ型カメラ」の愛称で呼んできました。

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タテ型カメラ内部

ですが、複製の仕事があるたびに、貴重な原本を便利堂に持ち込んでもらえるわけではありません。ほとんどが出張撮影になります。そこで昭和50年(1975)出張用の分解・組み立て型のタテ型カメラを開発しました(宮内庁書陵部でのレプリカ用撮影でデビューしました)。4トントラックで撮影現場まで運び、その場で組み立てる。撮影終了後は解体してまたトラックに積んで帰ります。レプリカ制作が華やかなりし時代は、午前と午後の「ダブルヘッダー」もあったそうです。

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タテ型カメラはフィルターを用いて色分解カラー撮影を行います。レンズの前にはミラーがあり、鏡面(膜面で正画となるよう)に撮影します。

つい前置きが長くなってしまいましたが、じつはこのタテ型カメラ、コロタイプ複製制作ではもうほとんど使われることがなくなりました。まして移動式の出番はありません、悲しいですが。便利堂では数年前に、最大6100万画素の超高精細デジタルカメラを導入し、レプリカ制作の現場でも、デジタル撮影が主流となってきています。デジタルカメラは、もちろん機動性に優れ、デジタルデータからでもアナログ撮影と何ら遜色ない、後工程の画像処理などの条件によってはそれ以上のクオリティの複製を制作することが可能となっています(大幅の作品であれば、8×10あるいは11×14インチのカラーフィルム撮影で対応します。媒体がもつ情報量については、フィルムの優位性を強調しておきます)。

とはいえ、この移動式タテ型カメラを倉庫に埋もれさせておくのは、あまりにもったいない。なにか有効な、そしておもしろい使い途がないか、社員みんなで考えています。まだ結論は出ていませんが、まずはそんなカメラがあることを、大全フィルムがもつ画像の圧倒的な情報量を、多くのひとに知ってもらうため、手始めに…史上初!タテ型カメラ屋外撮影のデモンストレーションを敢行しました。文末には動画もアップしてます!

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移動式タテ型カメラを長年預かってくれているのは、京都の美術品輸送「まるたけ運送」さん。朝一番で、4トントラックが便利堂駐車場に到着しました。いかにも重そうな木箱やアルミ箱、鉄パイプなどを次々におろしていきます。

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便利堂の屋上は4階です。エレベーターなんてありません。複雑に入り組んだ構造になっており、男どもが狭いなかを縫うように進み、階段の踊り場で悶えながら何度も往復して「部材」を運び上げました。

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さて組み立てを始めます。まずは足場となる<土台>と<本体>を接合し、5箇所のボルトを調整して水平を取ります。つぎに<本体>と蛇腹が付いた<ヘッド>を接合し、<ピントガラス>を<ヘッド>のスライドレールに載せ、蛇腹とつなぎます。<ヘッド>の前部に大型レンズを嵌めると、これでカメラの形になったように見えます。

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サイズが桁外れなので想像しにくいかもしれませんが、カメラの内部は暗黒でなければなりません。そこで、この<ヘッド>+<本体>を覆い、なかでひとが作業できるスペースをもった暗室をつくります。鉄パイプで骨組みをつくり、分厚い暗幕(ファスナー式)で覆います。ここまでくると、<ピントガラス>にうっすら像が浮かび上がります。もちろん天地逆さまです。

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今度は<バキューム盤>の取り付けです。ここにフィルムを装てんするのですが、脱落しないように、また平滑面を維持するために、その名のとおりフィルムを吸いつけるのです。<ヘッド>の右に<ピントガラス>を、左に<バキューム盤>を取り付け、それぞれが開閉できるようになっています。<ピントガラス>を見ながら蛇腹を前後させ、ピントが合ったら<ピントガラス>を除けて、<バキューム盤>を取り付けます。暗室外の電動でフィルムを盤に吸いつけます。これが、タテ型カメラでほぼ唯一の電気的装置です!

大全紙サイズの大型カメラは、世の中にはほかにも存在しますが、このカメラの違いはこのバキューム装置です。この後触れますが、この機能があるからこそ、4色分解で大全紙大のカラー撮影ができるのです!

スクリーンショット1

カメラ全部を覆ったら、これで完成!内部は暗黒。手元照明だけが頼りです。

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今回は屋外撮影ということで、シャッターなしの「手蓋」です。時間を計って「手蓋」を開閉し、フィルムを感光させて外景を焼き付けるだけの単純な仕組みです。露光は f.90で1秒。使用フィルムは富士フィルム製「SN-12」、便利堂特注品。現在生産中止で社でストックしている分のみが存在します。

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いよいよ次は、色分解によるカラー撮影です。フィルター色の濃度によって露光時間が変わりますので、「フィルター倍数」という色ごとに係数を掛けて割り出しています。今回は「ノンフィルター」を1秒として、Y(イエロー)1.5秒、R(レッド)4秒、G(グリーン)15秒、V(ヴァイオレット)30秒です。この長い露光時間のあいだにフィルムが動かないようにするためにバキューム装置があります。

そして色分解撮影は、それぞれY→黒、R→青、G→赤、V→黄の色を取り出すものですが、印刷によって初めてカラー再現できます。4枚のフィルムを合わせたときにぴったり合うようにフィルムを平滑にするのもバキューム装置の大切な役目です。また、本体を重量級にしているのも、同様にフィルムの精度を保つためですがデメリットでもありますね。さて、ぜひこの色分解フィルムを使ってコロタイプでカラープリントをつくってみたいので、この結果は後日報告します。

スクリーンショット3

さあ、さっそく現像です!フィルムには絶対に光が当たらないよう厳重に暗箱に封入して暗室へ。現像結果は如何に。本城カメラマン、上がりはどうですか?

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 「撮影時は暴風に煽られ、どうなるかと思いましたが、ブレもなくばっちりです。35ミリや4×5フィルムと比べ、ディテールの情報量が半端じゃない。比叡山山頂のガーデンミュージアムまで?写っています!次はタテ型で富士山を撮ってみたいです!」

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漢(おとこ)たちのやりきった感がにじみ出てます! 便利堂カメラマンたちとまるたけ運送のおふたり(右)

トラックの到着からフィルムの現像まで約5時間。全員汗まみれのクタクタでしたが、すばらしい結果に、一同大喜び。初めてのデモに、なにもこんな季節を選ばなくても…とは正直思いましたが、私自身もしっかり手応えを感じました。つぎは会社の外に飛び出して、このカメラを組み立て、撮影している姿を街の人々にみてもらいたい。さらに、ぜひやってみたいという方が現れてほしい、と思っています。タテ型カメラに何ができるのか、世の中でどんなお役にたてるのか、可能性を探るため、今後もプロジェクトを推進していきますので、活動をチェックしておいてください!

追記:プリント焼いてみました!

2紙焼き
あせって裏焼きしてしまいまいました(はずかしー)

1紙焼き
正しくはこうですね(反転画像)

紙焼き3
遠景もこの通り。

ぜひ、タテ型カメラで撮影したいという方、ご連絡ください! 応相談!
ご連絡は下記まで!
collotype-workshop@benrido.co.jp





尾形光琳「風神雷神図屏風」原寸大復元複製里帰りプロジェクト

Posted by takumi suzuki on 27.2015 【今日のコロタイプ】    0 comments   0 trackback
進捗報告①:コロタイプ作業スタートしました!

琳派大容量画像2

光琳の「風神雷神図屏風」と抱一の「夏秋草図屏風」
元は表裏であったふたつの屏風を本来の姿に復元複製し
京都に里帰りさせるプロジェクトです

公式HP:www.benrido.wix.com/rimpa-collotype


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完成した複製は「琳派400年祭プラットフォーム事業」として一般公開されます。


プロジェクトの趣意

尾形光琳「重要文化財 風神雷神図屏風」と酒井抱一「重要文化財 夏秋草図屏風」(ともに東京国立博物館蔵)は現在では別々に仕立てられていますが、17世紀に尾形光琳が「風神雷神図」を描き、100年後その裏面に酒井抱一が「夏秋草図」を描いた、もとは一つの屏風の表裏でした。その光琳と抱一の時間を超えたコラボレーションには、先人に対する憧憬と画風伝承へのあつい思いが感じられます。

本年2015年は、本阿弥光悦が光悦村をひらいてから400年の記念年。 便利堂は、本年を記念して立ち上げられた琳派400年記念祭プラットフォーム事業《尾形光琳筆「重要文化財 風神雷神図屏風」復元複製里帰りプロジェクト》を全面的にバックアップしています。便利堂の目指す「文化財を護り未来へ伝える」願いが、日本美術の精華といえる二作品の復元複製里帰りプロジェクトには込められています。


京都への里帰り

尾形光琳「重要文化財 風神雷神図屏風」は、もとは京都で描かれたことがわかっています。京都は古くから文化芸術の中心地でした。そんな京都には、現在でも文化財の伝承に携わる企業や職人がたくさん存在します。私たち便利堂もそのひとつ。コロタイプ印刷の職人が魂をこめ、原本に限りなくちかい複製による里帰りを実現させます。完成した複製は、京都府に寄贈します。寄贈後は、子どもたちへのワークショップや展示展観を予定。文化財伝承の技術と魂を、京都の地にて、いま(現在)からさらに後世へと伝えたいと思っています。


ただいまテストプリント制作中!

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原本ご所蔵先の東京国立博物様から高精細のデジタル画像をご提供いただき、7月から複製作業がスタートしています。気が付けば完成予定日まで約3ヵ月! 非常にタイトなスケジュールとなっていますが、コロタイプ工房では培ったノウハウを総動員して、かつてないレベルの最高の複製を目指しています。右端は、今回このプロジェクトの刷りを担当してくれる尾崎君です。

風神雷神p3

かつてはアナログ100%の製版作業も、デジタル技術を導入しています。しかしデジタル処理とはいえ、自動でできる訳ではありません。どんな色を取り出し、どんな調子の版にしていくか、アナログ製版で培った技術があればこそ、デジタルに応用できるのです。アナログフィルム上で行うように、1色1色塗り込んでいきます。

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写真は、3色ほどの色が入ったテストピース。計10色以上の色を刷り重ね、背景に金箔を入れたものを現物と比較します。そこからさらに修正を重ね、色合い、厚み、風格など、単に現物に似せただけではないコロタイプならではの表現を作り上げていきます。

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金箔の上に表現された雲の補色を入れているところ。これで10色目となります。

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ちょっと雰囲気を出すために、金粉を振ってみました。本番は金箔張りとなります。この金表現とたらし込みで描かれた雲の力強い表現がうまくできるかどうか、そこがポイントです。


公開予定

近々、現物を前にしての色校正を行い、本番へと進みます。完成は10月末予定!。複製は下記の予定で公開いたします。

■琳派400年記念「古典の日フォーラム2015」 
 場所 : 国立京都国際会館
 期間 : 平成27年11月1日(日) 

■尾形光琳筆「風神雷神図屏風」復元複製里帰りプロジェクト完成記念特別展示
 場所 : 京都文化博物館2階コネクションホール
 期間 : 平成27年11月3日(火・祝)~ 平成27年12月6日(日) 10:00  ~ 19:30

上記、文化博物館の展示期間中には、本プロジェクトの賛同人代表である小林忠先生(学習院大学名誉教授・岡田美術館館長) の記念講演会も開催されます。

■講演会 : 11月14日(土)10:30~
 小林忠先生(学習院大学名誉教授・岡田美術館館長)の記念講演会(3階フィルムシアターにて。要別途申込み制)


皆様のご支援をおねがいします

文化の普及・教育、そして精巧な写しを制作して後世に遺していくことの大切さを、一人でも多くの方にご理解ご賛同いただくために、プロジェクトの支援という形でご参加をお願いしています。サポートいただいた基金は、復元複製の製作費ならびに完成後の公開・活用に当てられます。詳しくは、下記公式ホームページをご覧ください。ぜひ皆さんと一緒に文化財を楽しみ、文化財にふれ>あい、そして伝えていく活動ができればと願っております。

尾形光琳「風神雷神図屏風」原寸大復元複製里帰りプロジェクト公式サイト
www.benrido.wix.com/rimpa-collotype



また、ご購入いただいた商品の売上の一部をプロジェクトの基金として協賛させていただく「基金商品」もご用意しております。
詳しくは下記の「京都便利堂オンライショップ」まで!

プロジェクト基金商品一覧



"Kyoto Week" 日本橋三越本店で「便利堂 京都のいまむかし 絵はがき展」開催!

Posted by takumi suzuki on 05.2014 【今日のコロタイプ】    0 comments   0 trackback
週末には工房長による実演販売・体験コーナーも!
2014年11月5日-11日 於:日本橋三越本店1階

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本日より11日火曜日まで、日本橋三越本店で全館キャンペーン《Kyoto Week》が開催されます。本館7階催物会場で開催される京の逸品を取り揃えた「第65回 洛趣展」をはじめ、本館新館各階で京の伝統やエッセンス、職人技などを活かした個性豊かな品ぞろえが楽しめる催しとなっています。⇒詳しくはこちら「三越本店たより」

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本館1階では「わたしの好きな京都」と題した特別コーナーが設けられています。「和」をモチーフに表現されるコンサートイベントや、宇治茶の新しい伝統の創生を目指す「松北園」さんの期間限定カフェ。昨秋20周年迎えられたJR東海さんの「そうだ 京都、行こう」のポスターアーカイブの展示と三越の社員の皆さんがおすすめする京名所スポットなど、さまざまな角度から「五感を満たす」京都を体験していただける趣向です。

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便利堂では、「京都のいまむかし 絵はがき展」と題し、明治期の京都の名所・風俗を写した古絵はがきの展示を行っています。今週末の8日(土)9日(日)には、コロタイプ工房の山本工房長が実演販売! 三越ライオンや本館1階にそびえたつ天女像を耳付き和紙はがきにその場でプリントして販売します。興味のあるかたはその場でコロタイプを体験していただくことも可能です!(無料。普通の和紙にプリントとなります)。

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(「展」が「店」になってますね。。)

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各コーナーには三越の皆さんおすすめの京名所を紹介したカードが設置されています。200箇所以上のスポットが用意され、ご自由にチョイスしていただけます。会場には表紙とリングが用意されていますので、自分だけの京都ガイドが編集できるのです!

会場には昨年制作した酒井抱一「夏秋草屏風」の原寸コロタイプ複製も展示しています。ぜひ今週は日本橋三越で京都体験をしてください!

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【追記】
実演風景を追加しました。2日間で90名以上の方に体験していただきました。

三越WS

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プロフィール

takumi suzuki

Author:takumi suzuki
【コロタイプの過去・現在・未来。創業明治20年の京都 便利堂が100年以上にわたって続けているコロタイプ工房より最新の情報をお届けします】
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English:www.benrido-collotype.today

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