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ワークショップ開催結果報告と4月開催のお知らせ

Posted by takumi suzuki on 31.2015 【コロタイプ、やりませんか collotype academy】   0 comments   0 trackback
福岡・東京・京都で開催いたします!

回を重ねるごとにご好評いただき、実施エリア拡大中のコロタイプワークショップ。来月4月には、福岡・東京・京都と3ヶ所で開催を予定しています。福岡近隣の方、またはあるいは今までタイミングが合わなかった方、ぜひ春爛漫のこの季節、コロタイプワークショップに足を運んでみませんか? 開催のお知らせは最後に。まずは、昨年後半のワークショップ実施結果のご報告から。

田川市石炭・歴史博物館、国立歴史民俗博物館、スイス・「アールジュネーブ」で開催

■世界記憶遺産「山本作兵衛炭坑記録画」レプリカ制作事業に関連して 於:福岡県田川市石炭・歴史博物館
  2014/11/16

田川市石炭資料館

平成23年5月にユネスコ世界記憶遺産に登録された山本作兵衛による炭坑記録画の多くは酸性紙と思われる近代の西洋紙が使用されており、長期的な保存が大変難しいと考えられています。そのため、平成24年度から平成26年度にかけて原本の保存・修復作業が行われました。この保存修復事業の一環としてコロタイプによる複製事業も進められました。この複製保存に用いられた「コロタイプ」を地域の皆さまに知っていただこうという主旨で講演会ならびに体験ワークショップが開催されました。⇒複製事業についてくわしくは《世界記憶遺産登録記念「記憶を護るコロタイプ」展開催のお知らせ――山本作兵衛炭坑画と国宝『御堂関白記』――》

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⇒詳しく当日の様子は《田川市石炭・歴史博物館のぶろぐ》「博物館イベント☆コロタイプ印刷の講演会とワークショップ☆ミ」


■国際企画展示「文字がつなぐ~古代の日本列島と朝鮮半島~」開催に合わせ 於:国立歴史民俗博物館
  2014/11/23・24

歴博2

「原本そっくりに再現するコロタイプ印刷の技術を体験してみませんか?」
と題して展覧会関連イベントのひとつとしてコロタイプ体験ワークショップを行いました。11/23(日祝) 24(月振) いずれの日も10時30分~12時、14時30分~16時、合計4回の開催で合計128名ものご参加を頂戴しました。

この企画展示は、古代文字で読み解く日韓両国の交流の歴史について、日本初公開作品も含む約300件の資料と書によって展観されたものです。展示作品の一つとして、便利堂が昭和57年(1982)から現在まで複製を制作させていただいている「正倉院文書」のレプリカが出品されました。全800巻からなる正倉院文書の重要性や、全巻複製までまだ数十年かかるといわれる正倉院文書複製事業の意義について学ぶ機会として、この体験ワークショップが開催されました。

歴博1

最初に、国立歴史博物館 小倉慈司(おぐら しげじ)先生が、正倉院文書が世界的にも貴重な歴史資料である事、そして、その複製事業を歴博が30年以上前から行っている事をお話されました。その後を引き継ぐかたちで、弊社山本が、何故、コロタイプ技術が正倉院文書複製に選択されたか、その特徴をスライドと動画で説明しました。そして、いよいよワークショップの開始です。体験して頂く図柄は、正倉院文書の中でも有名な大大論と呼ぼれるユーモラスな絵と歴博様ご所蔵の正倉院文書です。緊張気味の皆様でしたが、難しい説明より実際にゼラチン版にローラーを転がすことで画像が浮き出る不思議に笑顔を浮かべられていました。

参加された方々の中には、小さなお孫さんから、お爺ちゃん、お婆ちゃんまで、ご家族でコロタイプ手刷りに挑戦して頂けました。「今日、歴博に来て良かった」「明日も、来ても良いですか」その暖かい言葉は、私たち三人(竹内・石部・山本)に最高の力を与えてくれました(記:山本)。


■スイスのアートフェアartgenèveにて
2015/1/29/ - 2/1/

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コロタイプワークショップ初の海外遠征! スイス・ジュネーブで毎年開催されているアートフェアartgenève。その出版社コーナーをプロデュースしているフランスの出版社、Editions Malucaの肝いりでフェアに参加のご招待をいただきました。

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ジュネーブの空港に連結した見本市会場palexpoには数多くの欧州を中心とするギャラリーのブースが立ち並び、その会場入り口すぐそばの一角が出版社ブースです。ここのテーブル1台をお借りしてワークショップを行いました。

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入口すぐのメインストリートに面していますので、デモンストレーションをはじめると、あっという間に人だかりが出来ました。もちろんコロタイプに興味を持っていただく人も多いのですが、日本、そしてなによりも京都から来た、という点がみなさん食いつきがよかったです。さすが京都だとあらためて実感した瞬間でした。

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また、日本でこうしたアートフェアで小さい子供を連れた家族連れというのは、あまり見かけないような気がしますが、このアールジュネーブでは、本当にそうした家族連れが多く印象的でした。ワークショップも多くの子供たちに体験してもらいました。机に届かないお子さんは、特設テーブルで。

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連日のデモンストレーションで担当してくれた石部君は大変だったと思いますが、機会があればまた海外遠征も続けていきたいと思います。


開催のお知らせ:福岡・九州国立博物館、東京・日本橋髙島屋、京都・KYOTOGRAPHIEイベントとして

ユネスコ世界記憶遺産「山本作兵衛コレクション」保存処置作業完了報告展 1095日の軌跡 於:九州国立博物館

九博WS

先にも知らせしたように、3年にわたる山本作兵衛の炭坑記録画の保存修復と複製制作の事業がこの3月に無事終了しました。それを記念し、九州国立博物館で上記の展覧会が開催されます。展示は5章で構成され、ユネスコ世界記憶遺産登録の取り組みからはじまり、こうした近現代資料の保存の重要性について、そしてどう保存・継承して後世に護り伝えていくかがわかりやすく展示されています。便利堂制作のレプリカは、第4章「コロタイプ印刷と複製画」として展示され、精巧な複製を制作することで作品の姿を保存することの必要性が取り上げられています。この展覧会合せ体験ワークショップを開催します。

日時:2015/4/5(日) 12:00-16:00 この時間内であればいつでも体験していただけます。
場所:九州国立博物館 1階エントランスホール
対象:どなたでも参加できます
参加費:無料

⇒田川市石炭・歴史博物館ブログ


■鳥獣戯画特集フェアにあわせ 於:東京・日本橋高島屋

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去年の秋に京都国立博物館で開催された鳥獣戯画の展覧会が、この春装いも新たに東京国立博物館にて来月28日より開催されます。それに先立ち、日本橋髙島屋さんでは鳥獣戯画をフューチャーしたフェアを開催されます。期間中、体験ワークショップを行いますので、ご自分の手で鳥獣戯画をプリントしてみませんか?

日時:2015/4/12(日) 10:00-13:00/14:00-17:00 この時間内であればいつでも体験していただけます。
場所:日本橋高島屋 1階イベントスペース
対象:どなたでも参加できます
参加費:無料


京都グラフィーパブリックプログラム 於:便利堂コロタイプ工房

昨年に引き続き京都グラフィーのパブリックプログラムとしてワークショップ・レギュラーコースを開催します。レギュラーコースとは、ご自分の写真を入稿していただき、その作品をご自分でコロタイププリントすることができるコースです。毎回開催のたびに定員オーバーのご好評をいただいていますので、今回は午前午後のダブルヘッターの開催です! 

今回は、和紙にこだわったバージョンアップ版です。銘柄・産地など、各種ご自由に制限時間内刷り放題です。従来の種類に対し、当社比3倍の種類増でお待ちしております! お申し込みはお早めに。

日時:2015/4/24(金) 1回目 9:30集合 10:00-12:00 / 2回目 14:00 集合 14:30-16:30
場所:便利堂コロタイプ工房
対象:事前申し込みが必要です。collotype-workshop@benrido.co.jpまでお名前・ご住所・電話番号を、参加人数、希望時間(AM/PM)を書いてメールしてください。
定員:各回8名(先着順)
参加費:有料 6000円
入稿:申込み受付が完了した方は4月10日までにプリントする写真原稿のデータを入稿していただく必要があります。







《コロタイプギャラリー支配人より次回展のお知らせ》「重要文化財指定記念 法隆寺金堂壁画写真原板展」

Posted by takumi suzuki on 14.2015 【コロタイプギャラリー】   0 comments   0 trackback
指定原板を大公開。当時世界でも類を見ない原寸大分割撮影プロジェクトの全貌をご紹介します!
2015年3月15日(日)~4月5日(日) @便利堂コロタイプギャラリー

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コロタイプギャラリー支配人の藤岡です。
既報のとおり、このたび、便利堂が昭和10年に撮影した焼損前の法隆寺金堂壁画の姿を詳細に伝える写真原板が国の重要文化財に指定されました! 2012年に「法隆寺金堂壁画ガラス乾板保存プロジェクト」を立ち上げ、調査検討を重ねてきましたが、まずはひとつの大きな成果と言えると思います。⇒ 「法隆寺金堂壁画ガラス乾板保存プロジェクト①」 

指定名称は、
「法隆寺金堂壁画写真ガラス原板 三百六十三枚」(法隆寺所蔵)および
「法隆寺金堂壁画写真原板 八十三枚」(便利堂所蔵)です。

それらはいずれも、便利堂が昭和10年(1935)に撮影を敢行したもので、本年はそれから数えてちょうど80年にあたります。また今年は便利堂が写真工房・コロタイプ工房を開設して110年、来年には便利堂創業130年を迎えます。こうした節目にあたる年に、栄誉の知らせを受け、一同大変うれしく光栄に感じ、ぜひとも弾みにしたいと意気込んでおります。

そこでコロタイプギャラリーでは、2015年3月15日(日)より「法隆寺金堂壁画写真原板展」を開催します。重要文化財指定を受けた上記写真原板より6点と、昭和12年に制作したコロタイプ原寸大複製ならびに関係資料を多数展示します。手前味噌ながら、我々の大先輩の偉業をぜひ見に来てください。

今回は、その展示の見どころを紹介します。当ブログで以前に取り上げた、法隆寺金堂壁画原寸撮影とそのコロタイプ版について、また写真のガラス乾板を保存するプロジェクトについての記事とあわせて読んでくださいますと、より理解を深めていただけると思います。⇒ 「法隆寺金堂壁画とコロタイプ」

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■原寸大撮影事業とは?

 昭和9年(1934)、文部省に「法隆寺国宝保存事業部」が設置され、国の事業として半世紀にわたる「法隆寺昭和の大修理」(〜昭和60年)が始まります。壁画保存については明治時代からの懸案事項でしたが、まずは原寸大写真を撮影して現状を記録することに決定し、便利堂に委嘱されました。テストを経て翌10年8月から6人がかり75日間で原寸大モノクロ写真が外陣大小12面で363枚、赤外線写真が20枚以上撮影されました。この時に原色版用全図4色分解撮影も便利堂によって独自に行われました。

 
1 原寸撮影模型  昭和11年(1936) 法隆寺所蔵

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六櫻社(小西六写真工業株式会社、のちのコニカ)小林啓七技師の協力を得て開発した原寸大撮影用セットの3分の1の模型。この大事業を記念して便利堂と六櫻社が作成、法隆寺に奉納した。カメラ自身に250ワットの電球を四隅に付け、カメラと一緒に動くようになっている。カール・ツァイス社製の製版用プロセスレンズ「アポクロマチックテッサー450㎜F9」を装着。レンズから壁までの距離90㎝、F22まで絞り壁画によってフィルターを使い分け40秒~2分でシャッターを切ったという。カメラの移動だけでも6人がかり。連日撮影後はすぐに原板を京都に運び、夜中2時から現像を行った。水洗には水車を使った特製設備も用意した。

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2 当時使用のライトフードと分色フィルター  昭和初期 便利堂所蔵

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原寸大撮影時に用いられたと思われる機材。当時の撮影風景を記録した写真には、同型のフードをつけたライトを手にする助手が写っている。分色フィルターは、4色分解撮影時に使用する。

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3 重要文化財「法隆寺金堂壁画写真ガラス原板 三百六十三枚」のうち4枚  
   昭和10年(1935) 法隆寺所蔵

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昭和10年8月から10月にわたり、英国イルフォード社に特別注文して輸入した全紙判(50×60㎝)ガラス乾板を用いて原寸大分割撮影が行われた。大壁は42分割、小壁は24分割、仏様の顔が切れないように別撮りしたものを加えると全374分割。全紙の大きさに満たない分割部分は、1枚の乾板を半分ずつ使い2カットを撮影したので、撮影乾板数では363枚となる。原寸大分割撮影という、当時世界的にも例を見ない大型撮影プロジェクトであり、また赤外線撮影、4色分解カラー撮影も同時に行うなど、日本写真史的にも重要な写真原板といえよう。撮影技師は、今回が同壁画3度目となる佐藤浜次郎。撮影原板は、コロタイプ原版とするために、膜面を反転し、永久保存のため約1㎝の厚ガラスに張り替えている。またその際に膜面の上からセロファンで覆っていることが酸化を防ぎ、撮影から80年を経た現在でも非常に良好な状態を保っている。


4 「法隆寺金堂壁画原寸大玻璃版(コロタイプ)複製 全12面」のうち6号壁
   昭和12年(1937) 便利堂所蔵

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原寸大撮影後、焼付をつなぎ合わせて原寸大全図にしたプリント2組と分割まま1組の計3組が納入された。しかし焼付では変色の恐れがあることから、翌11年玻璃版(コロタイプ)によるプリントが文部省により検討される。膜面返しのテストを経て、結果が良好なことを確認して作業に着手。国産による良質なカーボンインキの開発からスタートし、越前の特漉き雁皮紙、京表具による大幅表装など、国家プロジェクトにふさわしい高品質な原材料と高い技術の粋を集めて作業が進行された。莫大な制作費をあがなうために複数組を制作し頒布されることになり、昭和13年までに全12壁20数組が完成し、国内外のミュージアム、大学などに収蔵された。展示された6号壁は、試作として昭和12年に完成した最初の1組から。長年便利堂内に展示されていたため和紙の焼けがみられるが、画像はしっかりと残っており、黒々とした顔料による精緻な表現は、和紙となじみ落ち着きながらも瑞々しさも感じられるほどである。


5 岩波書店刊行『法隆寺金堂壁画選』より6号壁菩薩部分カラー復元
   平成23年(2011)

岩波

岩波書店『法隆寺金堂壁画』に合わせて刊行された『原寸大コロタイプ印刷による 法隆寺金堂壁画選』(展示No.16)にモノクロ6葉とともに収録されたカラー1葉。展示No.6の4色分解写真原板83枚のうちの1枚「菩薩お顔部分」より原寸大に拡大し、コロタイプでカラー復元した。従来流布している同壁画のカラー画像は、展示No.13『壁画集』の原色版カラー図版をカラー複写したものであり、その意味でこの『壁画選』で発表されたコロタイプ版カラー図版は、60年ぶりに原板から起こされたカラー図版といえる。加えて原寸で網点のないコロタイプによる特色表現は、まさに当時の姿を目の当たりにするかのような再現となっている。同じく同書に収録されたモノクロ6葉をプリントするために、昭和42年(1959)「再現壁画」模写のコロタイプ下地印刷に使用して以来、約半世紀ぶりに「原寸撮影原板」を法隆寺収蔵庫より持ち出しコロタイプした。このとき目の当たりにした原板の状態の素晴らしさと価値を再認識したことが、同原板の保存活動を進める機縁となった。


6 重要文化財 「法隆寺金堂壁画写真原板 八十三枚」のうち「4色分解写真原板」1枚 (K版)
   昭和10年(1935) 便利堂所蔵

7 重要文化財 「法隆寺金堂壁画写真原板 八十三枚」のうち「赤外線写真原板」1枚
   昭和10年(1935) 便利堂所蔵

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4色分解写真原板(左)と赤外線写真原板(右)

当時はまだカラーフィルムが無く、4枚のフィルターでYMCK(イエロー・マゼンタ・シアン・ブラック)の各色を取り出す4色分解撮影という方法で写された。「原色版撮影」ともいい、原色凸版印刷(銅板)を行ってはじめてカラーの画像が得られる。この4色分解撮影は便利堂の発案で独自に行われた。

この4色分解原板は、壁画焼損後の昭和26年(1951)に『法隆寺金堂壁画集』(展示No.14)として日の目を見ることとなり、またこの画集のカラー図版が昭和42年の「再現壁画」模写の色再現に大いに参考になった。

赤外線フィルムは、六櫻社特製を使用。原寸大玻璃版複製とともに、この原板から赤外線図版20葉を収録した資料集(展示No.13)が刊行された。


8 「法隆寺金堂壁画原寸大写真購入設計書」 法隆寺国宝保存工事事務所 
   昭和10年5月1日 便利堂所蔵

設計書1

新発見資料。撮影開始にあたり、撮影の設計仕様ならびに費用を記載した書類の写し。総額が1万6510円であったことや、焼付をつなぎ合わせて原寸にした軸装2組と分割のまま1組、計3組の焼付を制作したこと、またイルフォードに発注したガラス乾板は「パンクロマチック」と「クロマチック」の2種類があり、壁画の色の発色で使い分けていたことなどがわかる。この時代の撮影事業の詳細がわかる書類は非常に珍しく、貴重な資料といえる。

設計書2


9 『法隆寺壁画保存方法調査報告』  発行:文部省 大正9年(1920)3月31日初版

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法隆寺金堂壁画の保存が最初に問題になったのは、明治30年(1897)のことで、その年の12月、「古社寺保存法」が施行されるとともに壁画保存のことが取り上げられた。しかしながら、当時取られた措置としては、壁画の亀裂部分が崩れ落ちないようにガラス板で押さえる、という程度のものであった。その後、大正2年(1913)、古社寺保存会より壁画保存の急務を説いた建議書が時の文部大臣に提出され、大正4年(1915)5月「法隆寺壁画保存方法調査委員会」が設置された。

当時トップクラスの学者で組織された委員会は約10回開かれ、様々な角度から壁画の保存について検討が重ねられた。最終的な選択肢として「壁画を切り離して別途保存する方法」と「金堂内にそのまま留め置く現状保存案」が検討され、後者が採用されることとなった。この約4年にわたる各種調査内容と検討結果がまとめられたのがこの『報告書』である。最終の第九章「結論」の結びには、いかに補修補強が実施され防火設備が整えられようとも、完全な副本(複製・写本)を持たないことには完全に壁画の保存を行ったと云えない、とし複製の重要性を説いてている。このことは、十数年後の「原寸大撮影」ならびに「原寸大玻璃版複製」、そして「昭和の模写」というかたちで実行されていくこととなった。


10 『法隆寺金堂壁画原寸大玻璃版複製附録』  編:法隆寺 昭和14年(1939)

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昭和13年に完成した原寸大玻璃版複製の附録として制作された壁画の解説書。


11 『原色法隆寺壁画』   発行:辻本写真工藝社 大正13年(1924)6月15日

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大正8年(1919)に技師長・佐藤浜次郎が辻本写真工藝社時代にはじめて法隆寺金堂壁画を撮影した原板で刊行された。金堂壁画として出版された最初の画集ではないか。枚葉式の本編が木製のタトウに入った珍しい形。収載図版のサイズから撮影原板が四切であったことがわかる。


12 『日本名画譜 仏画篇』 法隆寺輯(第4、8、11、12刊)
   発行:便利堂 昭和4年(1929)

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昭和2年(1927)、辻本写真工藝社より佐藤浜次郎を迎え「便利堂原色版工場」が新設される。早速第1弾として企画されたのが『日本名画譜 仏画編』であった。昭和4年に刊行が開始され、昭和21年(1946)までに20冊が出版された。佐藤はこの出版のために2回目の壁画撮影を行う。このときは2尺×3尺の鏡を40枚作って光線を当てて撮影したという。この経験をもとに、原寸大撮影の際は電球10個を用いる撮影設計を行った。


13 『赤外線原寸大 法隆寺金堂壁画』  発行:便利堂 昭和13年(1938)

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「原寸大玻璃版複製」(展示No.4)完成にあわせて刊行された、No.7の赤外線写真を用いたコロタイプ図版を収載した画集。


14 『法隆寺金堂壁画集』
   発行:法隆寺金堂壁画集刊行会(便利堂内) 昭和26年(1951)3月30日刊行

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昭和10年の原寸大撮影時に、赤外線ともに写された4色分解写真(展示N0.6)を用いて刊行された原色版カラー画集。当初、4色分解写真は撮影予定がなかったが、便利堂独自の判断で行われた。この4色分解原版は、撮影されたもののながらく日の目を見ることはなかった。当時の4代目社長・中村竹四郎の発案によるものであるが、すでに大正13年の『原色法隆寺壁画』(展示No.11)、昭和4年の『日本名画譜 仏画篇(法隆寺輯)』(展示No.12)の先行図書が刊行済であり、出版目的というよりも、純粋にカラー(4色分解)撮影による記録そのものに主眼が置かれたのであろう。しかしながら、昭和24年(1949)の羅災により、この原板が焼損前の色彩を最も正確にとどめる唯一無二の原板となってしまった。本書の刊行に際しては、国家予算による刊行(国内外への有償無償の頒布)として衆議院文部委員会でも討議され、最終的には、アメリカから日本の大学へ寄贈された豪華百科事典の返礼品として250部が買い上げられ米国大学図書館に寄贈された。そうした経緯から、巻頭には当時の首相吉田茂等の序文が寄せられている。

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15 『法隆寺金堂壁画集 便利堂蔵版』 (昭和26年の画集の復刻版)
   発行:講談社 昭和54年(1979)11月10日

16 『原寸大コロタイプ印刷による 法隆寺金堂壁画選』
   発行:岩波書店 平成23年(2011)6月24日初版

   ◆

 「オリジナル」としての彫刻や絵画が文化財指定されることは珍しくありません。ですが、失われたオリジナルを写した写真が重要文化財に指定されたことは、それ自体「オリジナル」の価値を認められたということです。大正時代の鎌倉芳太郎氏の「琉球芸術調査写真」など、ガラス乾板の重要文化財指定は初めてではありませんが、法隆寺金堂壁画写真原板のように昭和の時代における一企業の仕事の成果物が指定されるというのは、おそらく初めてといっていいのではないかと思います。ただコロタイプ通信としては、いつの日か、本件に限らずコロタイプ版が、オリジナルを十全に補完する「オリジナルの写本」として価値を認められ、今回のような吉事にあやかれるよう、精進したいと思います。

さてこののち、便利堂最大の遺産である法隆寺金堂壁画写真原板は「重要文化財」として国の宝になり、保管施設(選考中)に入ります。そうすると、研究者であっても、そう簡単に目にすることはできなくなります。またとない機会です。ぜひコロタイプギャラリーに足を運んでください! 4日3時にはギャラリートークも開催します!

重要文化財指定記念 法隆寺金堂壁画写真原板展
2015年3月15日(日)~4月5日(日) 会期中無休 入場無料
開廊時間 11:00~18:00
場所 便利堂コロタイプギャラリー
京都市中京区新町通竹屋町下ル 便利堂京都本社1F
お問い合わせ 075-231-4351(代表)

【ギャラリートーク】 4月4日(土) 午後3時より 定員50名(先着順) 無料
神田雅章氏(奈良県教育委員会文化財保存課 専門技術員)


法隆寺金堂壁画ガラス乾板保存プロジェクト②

Posted by takumi suzuki on 13.2015 【法隆寺金堂壁画ガラス乾板保存プロジェクト】   0 comments   0 trackback
昭和10年撮影の原寸大分割写真原板ほか一式、ついに国指定重要文化財へ!

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本日、文化庁より「文化審議会は、3月13日(金)に開催された同審議会文化財分科会の審議・議決を経て、2件の美術工芸品を国宝に、39件の美術工芸品を重要文化財に指定することについて、文部科学大臣に答申しました」という発表がありました。⇒ 「文化庁 報道発表」

法隆寺金堂壁画のガラス乾板は、「歴史資料の部」8件のうち2件として重要文化財に指定される見込みとなりました。報道発表の指定理由を引用させていただきます。

◎法隆寺金堂壁画写真原板 八十三枚(便利堂所蔵)
「昭和10年(1935年)に、文部省法隆寺国宝保存事業部の事業として撮影された、法隆寺金堂壁画12面の写真原板群の
うち、各面全図写真原板、四色分解写真原板(原色図版用)、赤外線写真原板である。特に四色分解写真原板は、壁画焼損前の彩りを伝える唯一の原板として貴重であり、古代東アジアを代表する仏教絵画である法隆寺金堂壁画の最も高品質な写真原板であるため、学術的価値が高い。」

◎法隆寺金堂壁画写真ガラス原板 三百六十三枚(法隆寺所蔵)
「昭和10年(1935年)に、文部省法隆寺国宝保存事業部の事業として撮影された、法隆寺金堂壁画12面の写真原板
群のうち、原寸大分割写真原板である。全紙規格の大型撮影機を使用し、高い撮影技術を駆使して細部に至るまで、巨大な壁画の精緻な記録を作成することに成功したもので、後に模写作成の基礎資料としても活用された。国宝保存法下における国直営の国宝保存事業の成果であり、古代東アジアを代表する仏教絵画である法隆寺金堂壁画の最も高品質な写真原板であるため、学術的価値が高い。」

同壁画のガラス乾板保存プロジェクトとして活動してまいりましたひとつの大きな成果として非常にうれしく思っております。しかしながら、この原板ならびにうつされた画像をどう後世に遺していくのが良いのか、どのように利活用していくか、まだまだ課題は多くあります。これを励みとして引き続きプロジェクトに取り組んでいきたいと考えています。

昭和10年の撮影原板について、ならびにこれまでのプロジェクトの取り組みについて詳しくは下記にて
⇒ 「法隆寺金堂壁画とコロタイプ」
⇒ 「法隆寺金堂壁画ガラス乾板保存プロジェクト①」 


■第2回調査委員会(2015年2月20日開催)

第1回調査委員会(2012年6月19日開催)以後、足かけ3年にわたって調査を重ねてきた結果報告として、第2回調査委員会を2月に開催しました。お忙しい中、第1回と同じ有識者の先生方にお集まりいただき、調査結果の詳細報告ならびに今後の保存や利活用について討議いたしました。

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■15日より「重要文化財指定記念 法隆寺金堂壁画写真原板展」開催!

この指定を記念して、便利堂コロタイプギャラリーでは明後日15日から「法隆寺金堂壁画展」を開催します。重要文化財指定を受けた写真原板より6点をはじめとし、昭和12年に制作したコロタイプ原寸大複製ならびに関係資料を多数展示します。ぜひこの機会にご来場ください。

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「重要文化財指定記念 法隆寺金堂壁画写真原板展」
2015年3月15日(日)~4月5日(日) 会期中無休
開廊時間 11:00~18:00
場所 便利堂コロタイプギャラリー
京都市中京区新町通竹屋町下ル 便利堂京都本社1F
お問い合わせ 075-231-4351(代表)



プロフィール

takumi suzuki

Author:takumi suzuki
【コロタイプの過去・現在・未来。創業明治20年の京都 便利堂が100年以上にわたって続けているコロタイプ工房より最新の情報をお届けします】
Japanese:www.benrido.co.jp
English:www.benrido-collotype.today

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