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「コロタイプ技術の保存と印刷文化を考える会」第18回研究会開催

Posted by takumi suzuki on 30.2012 【コロタイプ技術の保存と印刷文化を考える会】   0 comments   0 trackback
第18回研究会「伊藤若冲筆≪釈迦・文殊・普賢三尊像≫原本とコロタイプ複製」開催
2012年9月1日 於:相国寺承天閣美術館

承天閣美術館

 弊社では相国寺様のご注文により2006年から伊藤若冲筆≪釈迦・文殊・普賢三尊像≫3幅と≪動植綵絵≫30幅のコロタイプ複製制作に取り組んでまいりました。⇒くわしくはこちら そして多方面の方々のご指導・ご協力のもと6年間の作業を経てようやく昨春完成し、相国寺様に無事お納めすることが出来ました。相国寺承天閣美術館様では、この完成を記念して≪三尊像≫原本とコロタイプ複製が併せて展観されました。

 若冲の貴重な作品を原本とコロタイプ複製同時に間近で拝観できる機会にあわせて、相国寺様に特別の御許可を賜り、第18回研究会を同承天閣美術館様にて9月1日に開催させていただきました。

 この度の講師には、同志社大学教授 狩野博幸氏と表具師 矢口恵三氏(浩悦庵)をお迎えしました。

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■講演「アメイジング伊藤若冲」同志社大学 狩野博幸氏

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 狩野氏は、『目をみはる伊藤若冲の「動植綵絵」』(小学館)、『伊藤若冲大全』(小学館)等をご執筆されており、京都国立博物館在籍中には、「没後200年 伊藤若冲」展(2000年)を企画されました。今回は狩野先生に若冲その人となりと、狩野先生が研究のなかで集められた貴重なスライドを拝見させていただきながら、細部に至るディスクリプションをお話しくださいました。

 若冲の出自からパトロンとの関係や使用した絵具とその方法、技法等、お話の幅広い内容から浮かび上がった若冲像は、講演後に≪三尊像≫を観覧する際はもちろん、今後の若冲作品鑑賞のより深い助けとなりました。


■講演「若冲と表具」 矢口恵三氏(浩悦庵)

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 矢口恵三氏は、≪三尊像≫≪動植綵絵≫コロタイプ複製の表装を担当していただきました。講演では、この表装作業の始まりから完成までの道のり、若冲がどのようにして表具の裂を選んだのかというお話をしていただきました。

 表装の形態が、本尊の「釈迦」、脇侍の「菩薩」、さらにそれを荘厳する「動植綵絵」の三種で違うこと。裂に採用された若冲の出自を思わせる意匠…表装を若冲がどのように組み合わせたのか。若冲がいかに凝った表具の裂地の形を考案したか、だどを詳細に紐解いてくださったお話は、≪動植綵絵≫≪三尊像≫の表具裂だけに留まらない、若冲像に迫るものでした。

 裂だけでなく、作品の制作背景も考慮して行われた今回の複製事業は、複製をする者が原本とどう向き合うかその姿勢を伺うお話となりました。


■技法説明「伊藤若冲≪釈迦三尊像・動植綵絵≫コロタイプ複製のご報告」
コロタイプ工房 山本修

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 2006年の撮影からはじまった複製事業がなぜ6年の歳月を要したのか、2007年に一度完成した≪三尊像≫複製と2012年にお納めした完成品が異なるものとなった理由など、本複製事業の具体的な経緯をご報告いたしました。

 まず、2007年に一度完成した≪三尊像≫複製は、コロタイプ用にアレンジした絵絹にコロタイプ多色刷と日本画用の絵具による手彩色がなされました。しかし、日本画用絵具がうまくなじまない箇所が発生してしまい、対応策が練られることとなりました。

 コロタイプの色数を倍にするとともに、日本絵具ものらなければならず、その為には設計を一からやり直す必要がありました。日本絵具もコロタイプインクものる絵絹、裏打ちの和紙も楮から専用のものを刷り、浩悦庵様と補彩を担当していただいた川面美術様、便利堂とで何度も打ち合わせがなされ、絹本作りだけでも約1年を要しました。
 2008年は下準備に費やされ、2009年より印刷と仕立てに順次取り掛かり、2012年春に無事≪釈迦・文殊・普賢三尊像≫3幅と≪動植綵絵≫30幅が相国寺様に収められるに至りました。ご報告の最後には、コロタイプ印刷の工程について、VTRとともに説明させていただきました。

 第18回研究会は、平素より当会をご支援くださっている会友の皆さまに、ひとつの複製が完成するまでに各方面のプロが智慧を絞り協力しあう経緯をご報告し、また実際に≪三尊像≫原本とコロタイプ複製をご覧いただける大変有難い機会となりました。(丹村)
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