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《コロタイプギャラリー支配人(代理)から次回展のお知らせ》

Posted by takumi suzuki on 15.2013 【コロタイプギャラリー】   4 comments   0 trackback
世界記憶遺産登録記念
「記憶を護るコロタイプ」展開催のお知らせ
――山本作兵衛炭坑画と国宝『御堂関白記』――


山本作兵衛1


 本年4月に開廊いたしました「コロタイプギャラリー」では、来月より第3回目の企画展を開催いたします。開催概要を新人の竹内君より紹介してもらいます。

ギャラリー内部1
コロタイプギャラリー 
⇒第1回展「植田正治生誕100年記念 コロタイプポートフォリオ《童暦》」
⇒第2回展「コロタイプ手刷りプリントのたのしみ」


竹内

 こんにちは、新入社員の竹内です。藤岡支配人にかわりまして次回企画展のご紹介をいたします。今回は「記憶を護るコロタイプ」と題しまして、ユネスコが指定する「世界記憶遺産」に近年指定された、山本作兵衛画『筑豊炭坑画』と藤原道長筆『御堂関白記』のコロタイプ版複製を展示いたします。

 「世界記憶遺産」というと聞きなれない方もいらっしゃるのではないでしょうか。「世界記憶遺産」とはユネスコ(国際連合教育科学文化機関)が主催する三大遺産事業のひとつで、ユネスコの世界記憶遺産国際諮問委員会(IAC)での審査を経て、2年に1度登録が行われます。代表的なものは、「フランス人権宣言」「アンネの日記」「ベートーベン第9交響曲」の草案などが登録されています。


◆山本作兵衛画 『炭坑記録画・記録文書』 平成23年(2011)指定

山本作兵衛
山本作兵衛画 『炭坑記録画』より 「バンガヤリ」(傾斜-二〇度位でのスラ運搬) コロタイプ複製
昭和39-42年(1964-67)頃 原本所蔵:田川市石炭・歴史博物館
平成25年(2013)制作


 日本で初めて、この「世界記憶遺産」に登録されることとなったのが、福岡県田川市と福岡県立大学が共同で申請した山本作兵衛氏による炭坑記録画および記録文書です。山本作兵衛氏は明治25(1892)年、福岡県に生まれました。7歳になったころ父に連れられ、一家で上三緒炭坑に移住し、この頃から兄とともに炭坑での手伝いなどで家計を助けつつ、小学校を卒業、15歳で嘉穂郡山内炭坑に炭坑夫として入坑して以降、約50年間にわたり坑夫生活を営みました。

 幼少期から絵を描くことに興味がありましたが、家庭の都合もあり絵を描く道には進まず、約40年のあいだ日々の生活に明け暮れる日が続きました。彼の描く絵は、炭坑労働者でなければ描くことのできないヤマで働く人々の生活や炭坑の実情、出来事などが力強いタッチで描かれ、戦前から戦後にかけて、日本の発展を支えた人々の記憶を現在に伝えています。⇒詳しくはこちら「山本作兵衛氏 炭坑の記録画」

 田川市が所有する絵画585点(墨画・水彩画)、日記6点、雑記帳・原稿など36点、山本家が所有し福岡県立大学が保管する絵画4点、日記59点、原稿など7点の計697点が記憶遺産に登録されましたが、今回は田川市が所蔵する絵画585点について、市のご注文で平成24年度より3ヵ年にわたってコロタイプ複製を制作することになりました。本展では、初年度に完成いたしました墨画102点・水彩画93点のうち、水彩画10点を展観いたします。

 田川市石炭・歴史博物館では、企画展などで原画を展示をされてきましたが、今後はこの複製も作品の公開に活用されます。私はコロタイプの複製でしか作品を拝見していませんが、炭坑での過酷な仕事の様子や、当時使われていた工具や機械の説明、さらにはその炭坑夫の性格までもが細かく描かれていて、時間を忘れて隅から隅まで見入ってしまいました。


◆藤原道長筆 国宝『御堂関白記』 平成25年(2013)指定

御堂関白記
藤原道長筆 『御堂関白記』 コロタイプ複製
平安時代 原本所蔵:陽明文庫
手前:「長保6年暦」 カラーコロタイプ版 昭和58年(1983)制作
奥:自筆本全14巻 モノクロコロタイプ版 昭和11年(1936)制作

 
 今年になって、藤原道長筆『御堂関白記』が世界記憶遺産に登録されたという喜ばしいニュースを覚えている方も多いのではないでしょうか。『御堂関白記』は藤原氏による摂関政治の最盛期を築いた藤原道長(996~1027)の日記です。全36巻のうち、自筆である14巻がこのたび記憶遺産に指定されました。道長が33歳から56歳までのものです。現存している私的な日記としては最古で、これにユネスコは「世界最古の自筆日記であり、重要な歴史人物の個人的記録であり王朝文化が頂点に達した時代を活写した極めて重要な文書」と述べています。

 このような、世界的に見ても貴重な文化財が日本には数多くあって、それが評価されていくことは嬉しいです。正直、古典を読むのが大変苦手(笑)な私ですが、古い暦の一種である「具注暦」の余白に、本人が直接書いた書体からは臨場感が感じられ、当時の生活や、身のまわりのことを日々書き留めていたんだなぁと想いをはせました。

長保六年暦
『御堂関白記』長保六年暦 カラーコロタイプ複製
 
 今回の展示では昭和58(1983)年に多色刷のカラーにて複製しました「長保六年暦」を中心に、昭和11(1936)年に立命館創立35周年記念事業として出版された自筆本全14巻の単色版複製と合わせまして展示いたします。入社してから半年、まだまだコロタイプによる複製を見る機会が少ない私ですが、原本に限りなく迫るコロタイプの表現のすごさを改めて実感することができました。
 
 「炭坑画」の水彩のわずかな滲みや、色鉛筆で描かれた線。「日記」の墨の濃淡や本紙に描きこまれた部分など、その作品の寸法や、紙の質感までもとことん追求してつくられています! 是非、この限りなく本物に近いコロタイプ複製を皆さんにも見ていただきたいと思います。

 原本を目の前で見られるのが一番良いのかもしれません。ですが文化財なので、保存の観点から公開される期間が決まっていたり、なかなか公開されないということは多いと思います。そんな時にコロタイプ複製を通じて情報を得たり、質感を感じたりするのもその活用のひとつなのだと理解できました。そろそろ秋の清々しい季節となってまいります。ぜひコロタイプギャラリーに足を運んでいただいて、文化財の魅力を実際に感じていただければ幸いです。

会期   2013年11月5日(火)~11月23日(土)※日曜日は休廊。
     12:00~19:00

お問い合わせ先 株式会社便利堂 075-231-4351(代表) ※平日9:00~18:00
便利堂ホームページ http://www.benrido.co.jp/
Twitter @kyotobenrido


*コロタイプギャラリーは年数回企画展を開催しています。開催中はどなたでも展示と、隣接する工房の様子をご覧いただけます。現在、春・夏・秋の年3回程度を行っております。今後の開催予定につきましては、内容が確定次第、当ブログをはじめ、便利堂HPやツイッターでご案内させていただきます


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このコメントは管理人のみ閲覧できます
2013.10.28 23:24 | | # [edit]
ご無沙汰しております。
ぜひ、ギャラリーに遊びに来てください!
2013.11.01 13:32 | URL | takumi suzuki #- [edit]
最近、ブログの更新はおろかギャラリーの展示情報が更新されませんね。
何でですか?
2014.01.04 23:32 | URL | 通行人 #4umZh5Ws [edit]
ブログをご覧いただきありがとうございます。
12月はあまり更新できず申し訳ありません。
現在、記事を準備中ですので、1月からはさらに充実した内容をお届けできるよう努力したいと思います。
また、ギャラリー展示につきましては、次回は春に予定しております。その旨、過去記事文末に追記させていただきました。まだ内容は未確定ですが、昨年同様、京都グラフィーと連動した写真展になる見込みです。
こちらもぜひご覧いただけると幸いです。
2014.01.05 12:04 | URL | takumi suzuki #- [edit]


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【コロタイプの過去・現在・未来。創業明治20年の京都 便利堂が100年以上にわたって続けているコロタイプ工房より最新の情報をお届けします】
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