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HARIBAN AWARDコロタイプ写真コンペティションは本当に世界初!?

Posted by takumi suzuki on 30.2014 【書棚のコロタイプ】   0 comments   0 trackback
『京都の山水』  便利堂は明治時代にも写真のコンペをやっていました!
明治36年4月 便利堂発行 185×265㎜ 和綴本 表紙絵/竹内栖鳳 題字/富岡鉄斎

京都の山水

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京都で職人と一緒にあなたの写真をコロタイプしませんか

便利堂コロタイプ工房では、新たな試みとして「HARIBAN AWARD」コロタイプ写真コンペティションの開催に取り組んでいます。「HARIBAN」とは「玻璃版(はりばん)」のこと。日本では、コロタイプの版にガラス(玻璃)板を使うことから古くからこう呼ばれていました。ハリバン・アワードとは、広く世界からコロタイプで作品を作ってみたい写真家やクリエイターにエントリーしてもらい、最優秀賞者は2週間の京都滞在をしながら受賞作を職人と共に作り上げる機会が与えられるというコンペティションです。⇒くわしくは前回ブログ

「世界初!」と銘打っているHARIBAN AWARDですが、実は写真コンペティション自体は明治時代にすでに便利堂でも行っていました。明治期には小説や写真などさまざまな懸賞(コンペ)が盛んに開催され、投稿作家を育てて行きました。今回取り上げたコロタイプ写真集『京都の山水』は、京都の美しい風景をテーマに便利堂が明治36年(1903)に開催した写真コンペで入選した京都の新進のアマチュア写真家6名の写真を掲載しています。HARIBAN AWARDは、新進の写真家に作品発表の場を与え、ともに歩まんとしたこの歴史と伝統の上に位置しています。


明治のアマチュア写真家

19世紀中頃に日本に伝わった写真は、幕末から明治初期には写真館を構えた職業写真師によって確立されていきますが、明治20年頃になると本業は別に持ちながら、だからこそプロにはないフットワークの軽い、自由な精神で写真にアプローチするアマチュア写真家が活躍しだします。

「この時代、日本の写真界はゼラチン乾板の普及に伴い、営業写真師(プロの写真家)とは異なる、アマチュア写真家が登場して、芸術としての写真のあり方が追及され始めるときであった。明治22(1889)年にわが国最初のアマチュア写真家団体である「日本写真会」が結成されたのを皮切りに、明治26(1893)年には「大日本写真品評会」「華族写真会」が、明治34(1901)年には、「東京写友会」「東洋写真会」、明治37(1904)年には「浪華写真倶楽部」「ゆふつヾ社」などが結成され、コンテストや写真展、写真雑誌の発行などが盛んにおこなわれてゆく。」 (金子隆一氏「明治の写真とコロタイプ絵はがき」より。『明治の京都 てのひら逍遥』 便利堂 2013年発行)

京都の山水6
小川保太郎「題 正月」京都素人写真協会 1月例会 1等当選

上にあげた写真は、弊社所蔵の『京都の山水』に挟み込まれて保存されていた別刷のコロタイプです。おそらく写真集が刊行された明治36年と同じ頃に印刷されたものではないかと思います。「京都素人写真協会」については、詳しくはわかりませんが、東京や大阪で起こっていたアマチュア写真団体が同時期に京都でも結成されていて、活発に活動していたことがわかります。また、例会の当選作をこのようなコロタイプ刷にしていたということも興味深いですし、便利堂がなんらかこうしたかたちで活動を支援していたことがうかがえます。

撮影者の小川保太郎は、江戸中期から続く庭師「小川治兵衛」の八代目で、白楊と号しました。造園家としてだけではなく、考古学者・茶人としても活躍し、特に写真の分野では数々の京都の美しい風景を写し取った作品を残しています。便利堂は、白楊のそうした京都の名所の写真をコロタイプ絵はがきとして数多く世に送り出してきましたが、その機縁になったのがこの『京都の山水』の懸賞だったと思われます。白楊は明治15年生まれですので、写真集発表時は20歳過ぎぐらいでしょう。

京都の山水1
『京都の山水』目次

黒川翠山と便利堂絵はがき

『京都の山水』の巻頭には、「弊店懸賞募集当選写真」として6作家7作品が掲載されています。うち2作品が挙げられているのは、先に紹介した小川保太郎。もうひとり、特筆すべき作家は1頁目を飾る「八瀬の初冬」が選ばれた黒川翠山です。

京都の山水2
右:黒川翠山「八瀬の初冬」 左:小川保太郎「保津の飛橋」 

翠山は、本名を種次郎といい、白楊と同じ明治15年生まれです。若くして家業の呉服商を嗣ぎ、明治33年(1900)18歳頃より本格的に写真家を志し独学で研究を進めました。『京都の山水』の当選作は、翠山の活動最初期に当たり、これを機縁に以後、便利堂の絵はがきシリーズ「京名所百景」の社寺の建築美や街並み、名勝、祭礼、風俗をはじめとした各種絵はがきの原板を数多く撮影しました。

独特の情緒を湛えた雨景を得意とし、明治39年(1906)の日露戦争戦捷記念博覧会に出品した「雨後」で名誉銀牌を授与され一躍有名となります。便利堂では、先立つ38年に翠山の名を冠した絵はがき集「雨中の山水」を刊行するなど、その活動初期の多くの部分を共有しました。

京都の山水7
目次懸賞作品部分。白楊、翠山のほかに入選作家として挙がっている、奥田清月、山田玉耕、蟻井温恭、大森秀翠については未詳。

写真コンペティション、ふたたび

このあと明治末から大正にかけて、便利堂のコロタイプは古美術・文化財写真の印刷、複製にシフトしていき、芸術写真作品の分野ではこんにちに至るまで接点は少なかったといえるでしょう。そうした状況の中、あらためてコロタイプの原点である「写真作品のプリント」に回帰しようという取り組みを10年前から始めています。そして今回、100年の時を隔てて再度行う写真コンペティションが「HARIBAN AWARD」です。

「再度」といいましたが、その内容は大きく異なっています。明治当時は、写真を写真集あるいは絵はがきとしてきれいにプリントする技法はコロタイプしかありませんでした。つまり、写真を印刷する、イコールコロタイプで印刷するということです。同じ「写真コンペ」ではありますが、明治のそれはあくまでも「作品の募集」がメインであり、それを印刷するためにコロタイプを使うことは自明のことであり、選択の余地のないことでした。

HARIBAN AWARDは、写真をプリントする選択肢が多い現代において(逆にデジタルに偏っていて幅が狭いともいえますが)、あえて「コロタイプで作品を作る」というところに焦点を置いているところが大きな違いです。また、世界中からひろく募集するという規模も段違いです。そういう意味で、歴史と伝統を踏まえつつも、視点と意義が全く違うコンペティションだと考えています。このような主旨で同様のコンペがかつて行われたというのは、寡聞にして知りません。したがって、少々大げさですが「世界初」と銘打たせていただきました。

ぜひとも、ひとりでも多くの方にこの世界初のコンペティションにトライしていただきたいと思います。ご応募お待ちいたしております!

先着100名様には、参加費50%割引のキャンペーン中! おそらくあと数日で枠が埋まります。ご登録はお早めに! 下記公式HPまで。

www.haribanaward.org



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Author:takumi suzuki
【コロタイプの過去・現在・未来。創業明治20年の京都 便利堂が100年以上にわたって続けているコロタイプ工房より最新の情報をお届けします】
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English:www.benrido-collotype.today

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