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技法解説3:コロタイプ印刷機とプリントサイズ

Posted by takumi suzuki on 04.2014 【コロタイプ技法解説 collotype process】   0 comments   0 trackback
よくいただくご質問「どのサイズまでプリントできるのですか?」にお答えします

刷り機1
コロタイプ5号機(昭和48年導入 名古屋・三谷製作所製)


プリントの最大サイズは印刷機のサイズで決まります

工房に足を踏み入れた見学者の方がインキのにおいと共に感動されるのが、よく使いこまれて年季の入ったコロタイプ印刷機です。現在、コロタイプ工房では6機の円圧式印刷機が稼働しています。そのほとんどが、約半世紀にわたって活躍し続けています。

印刷機

手前より、5号機(昭和48年導入)、4号機(昭和63年に遠藤写真工芸所より譲り受ける)、3号機(昭和34年導入)、2号機(昭和39年導入)。 写真では見えませんが、画面左奥に6号機(昭和35年導入)があります。いずれも名古屋の三谷製作所製(現在1号は欠番)。

DAX.jpg

一番奥に鎮座するのが大判コロタイプ印刷機「Dax」(平成7年導入。廣瀬鉄工製)。「Dax」の愛称は社内公募で命名されました(命名由来の資料がいま手許が無いので、また後日加筆します)。

Daxをのぞき、基本的に印刷機は大全紙(508×609.6mm)=20×24インチがプリントできるマシンとなっています。つまり、

最大サイズは 20×24インチ

ということになります。これ以内の寸法でしたら、どのようなサイズのプリントも可能です。ただし、5号機だけすこし版面が大きく、20×28インチ(720×500mm)まで可能です。

版の調整作業
印刷機に取り付けられた大全サイズが刷れるゼラチン版。版より大きいものは当然ながら刷れません。

大判コロタイプ印刷機「Dax 」の最大サイズは 24×48インチ(1200×600mm)

動植棌絵5
Daxのゼラチン版はこれぐらい大きくなります。

これらのサイズより大きなものを制作する場合、文化財の複製などは、つなぎ合わせて一枚の大きな画面を作ることになります。その一番の好例が、法隆寺金堂壁画の原寸大複製です。⇒くわしくはこちら

Daxは特注で制作しており、逆に言うと大きいマシンを作れば、もっと大きなプリントが作れることになります。ちなみに、アメリカのコロタイプ全盛時代には「ブラックボックス」と呼ばれるDaxと同じくらいのサイズが刷れる巨大マシンが稼働していました。2005年に「国際コロタイプ会議」(⇒くわしくはこちらで訪れたブリストルの西イングランド大学にはDaxより大きなプリントを作れる平圧式のマシンがありました。


おまけ:便利堂コロタイプ工房の印刷機の変遷

平版コロタイプ印刷機
明治期から昭和29年(1954)まで使われていた「手刷り平台印刷機」(京都本社1Fに展示)

便利堂コロタイプ工房は、明治20年に書店として創業した便利堂が、当時ブームを迎えていた絵はがきを内製化するために明治38年に開設されました。この明治期に導入した印刷機が1機、便利堂に保存され展示されています(上掲)。

コロタイプ 昭和2年1
新工房が設置された昭和2年(1927)のコロタイプ印刷作業場。画面では7機の印刷機が確認できる。

工房開設時、何機の印刷機があったか記録にはありませんが、22年後の昭和2年(1927)に原色版印刷機もあらたに導入され、新工房が設置された時の写真をみると、7機ぐらいの手刷り印刷機が稼働していたことが確認できます。この頃は絵はがきブームも去り、社寺の写真帖や絵はがき、博物館の展覧会図録や画集などを専門に印刷を行っていました。

法壁2
昭和11年頃(1936)、特設工房(於 大雲院)にて法隆寺金堂壁画原寸大複製の作業風景

昭和11年には、法隆寺金堂壁画の原寸大複製を制作するために、当時河原町四条下ルにあった大雲院様のご協力いただき、印刷から表装まで一貫して行う特設工房を寺内に設置して作業を行っていました(上掲)。

記録によると、昭和14年(1939)には、「手刷平台印刷機」12機、「動力式印刷機」2機(昭和4年頃導入。その後廃棄)、昭和6年に導入した「大型平台印刷機(デカ版)」1機(近年停止)、の計15機が稼働していたとあります。「動力式印刷機」がどのようなものか定かではありませんが、現在稼働している円圧式の動力機ではなく、平台式の動力機だったと思われます。

その後、手動式から動力式に順次移行して行き、戦後間もない昭和22年(1947)には「大全動力機」2機、「全紙動力機」3機、「手刷機」10機、「デカ版」1機の計16機。27年には「動力機」計4機、「手刷機」計4機の8機と記録されています。

昭和29年には、「手刷平台印刷」部門は廃止となり、印刷機は処分されましたが、何機か資料として残され、1機は博物館明治村に寄贈され、1機は便利堂本社に保管されています。

昭和30年以降は、円圧式の動力機が次々と導入され、最終的に前述した現在の6機体制となっています。

竹さん0
昭和39年頃(1964)の工房

上掲の写真は、今から50年前の昭和39年の工房の様子です。現在の工房の場所とは少し違っていますが、印刷機や全体の雰囲気はこの時代から今もほとんど変わっていません。

竹さん1
現在(平成26年)の工房

ちなみに、昭和39年の写真に写った紙差し作業を行っている紅顔の美少年は、上の写真で紙差しをしているベテラン職人・竹口さんの50年前の姿です。機械も職人もいい味がでてますね。

レタープレス機とコロタイプ刷版と刷上がり
近年ワークショップで活躍中の小型レタープレス機(とりあえず欠番の「1号機」で呼びたいと思います。最近A3判をプリントできる、さらに大きなレタープレス機を導入しました。この詳細については、また追って。







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Author:takumi suzuki
【コロタイプの過去・現在・未来。創業明治20年の京都 便利堂が100年以上にわたって続けているコロタイプ工房より最新の情報をお届けします】
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English:www.benrido-collotype.today

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