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技法解説4:コロタイプインキと画像保存性

Posted by takumi suzuki on 12.2014 【コロタイプ技法解説 collotype process】   1 comments   0 trackback
インキも職人さんが手作りでつくってくれてます!



写真 41
コロタイプインキ 現在約60色ほどあり、これらを練り合わせて色を作り出していく

便利堂コロタイプ工房では、コロタイプ用のインキを特注で制作をお願いしています。便利堂のために特別調製を請け負っていただいているのは大阪堺市にある三星インキさんです。コロタイプのインキは顔料が平均60%という非常に高い含有率のため、耐候性耐光性に優れています。

三星ロゴ
三星インキ株式会社ロゴ

コロタイプの保存性に関しては、東京都写真美術館 紀要10号(2011年)に「コロタイプ印刷の画像保存性」と題し、コロタイプとインクジェットの耐候性を比較検証した論文が掲載されています。耐候性は、温湿度、光、ガス(オゾン)の3点から検証されます。この論文では、暗所保存性と耐光性については、全般的にはどちらの色材も耐久性が高いが(インクジェットの方がやや上回っている)、オゾン曝露による変色では、技法による違いが顕著に現れ、コロタイプ印刷の方がインクジェット・プリントよりも耐オゾン性が高い結果が得られたとし、「コロタイプ印刷からインクジェット・プリントへ移行するには、まだ十分な信頼性があるとは言い切れない」と結論付けています。

全文「コロタイプ印刷の画像保存性」(山口孝子・東京都写真美術館 保存科学専門員、高橋則英・日本大学芸術学部、大川祐輔・千葉大学大学院融合科学研究科)

コロタイプインキのできるまで 

DSC_2882.jpg
コロタイプインキのベースとなる展色剤(ビヒクル)である合成樹脂ワニスとその材料。
左より、樹脂(ロジン変性フェノール系)、油(亜麻仁油、大豆油)、合成樹脂ワニス(中粘度、高粘度)


では、そのコロタイプインキはどのようにつくられるのでしょう。

印刷インキは一般的に「色材」「展色剤(ビヒクル)」「助剤」からなります。展色材とは、インキのベースとなる液状物質で、これに顔料を加えて練り上げることでインキができます。コロタイプインキのビヒクルには、良質の油(亜麻仁油、大豆油)と樹脂から作った高粘度の合成樹脂ワニスが使われています。それをベースに中粘度のワニスもブレンドしているようです。

DSC_2883.jpg
色材

三星インキさんの研究開発チームは、色材である顔料を選び組み合わせ、工房が要望した色調と耐候性を兼ね備えたインキを日々開発していただいています。開発したレシピに準じて、ワニス、顔料、助剤を合わせていきます。通常のインキ製造は機械で大量生産されますが、ごく少量しか必要のないコロタイプインキの製造は手作業でつくっていただいています。

インキ3

ワニスのとりわけ。職人さんの慣れた手つきでワニスが丸められていきます。高粘度と中粘度をブレンドします。

DSC_2929.jpg

次に顔料の調合

顔料調合

調合が済んだインキの材料。コロタイプは顔料の含有率が多く顔料を全量一度に入れてしまうとうまく練り合わせられません。

インキ6

そこで、ワニスと顔料の半分を一旦おおまかに混ぜ合わせます。

DSC_2918.jpg

混ぜ合わせた材料を練り機にかけ、あらかたまとまったところで、そこにさらに第2弾の顔料を投入します。職人さんがつきっきりでヘラを使って何度も何度もローラーをくぐらせ練り込んでいきます。

DSC_2904.jpg

だいぶん粉っぽさがなくなり完成に近づいています。

インキ10

缶に手詰めし、ラベルを貼れば便利堂特製コロタイプインキの完成!

写真 1

このインキがないとコロタイプはできません。しかし便利堂がオーダーするのは、多くても1色につき数缶です。そのために多くの職人さんが手間暇をかけて良質のインキを製造していただいています。三星インキさんの採算度外視のご協力なしに、コロタイプは成り立ちません。「このインキがコロタイプによって文化財複製や芸術作品になり、後世に遺るものとなるのが誇りです」と三星インキはおっしゃいます。三星さんのご協力に感謝しつつ、さらにインキのいろんな可能性や改善のために工房としても研究を進めていきたいと思います。

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ありがとうございます。短いビデオだけでは伝えきれないくらい、手間暇かけて作っていただいています!

> ほっほぉ~
> 製版や印刷だけでなく、インクも職人さんが丹念に作られているとは知りませんでした。
> 素晴らしいです。
2014.06.19 15:20 | URL | takumi suzuki #- [edit]


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Author:takumi suzuki
【コロタイプの過去・現在・未来。創業明治20年の京都 便利堂が100年以上にわたって続けているコロタイプ工房より最新の情報をお届けします】
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English:www.benrido-collotype.today

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