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井浦新氏のコロタイプ・ポートフォリオ作品集完成! 近日発売
『祇園會-蘇民将来』
"京都創生PR事業「京あるきin東京2014」恋する京都ウィークス"
開催に合わせて出版
匠文化機構×便利堂コロタイプ工房 コラボレーション企画

「神幸祭-神輿渡御」撮影:井浦 新 コロタイプ (c)ARATA IURA 2014 無断転載厳禁

開催期間:2014年2月4日[火]-19日[水]
恒例のイベント「京あるきin東京」が来月より始まります。「京あるきin東京」とは、京都市が取組む「国家戦略としての京都創生」をより多くの方々にご理解・応援いただくために2011年から開催されているイベントです。東京都内の各所で、京都にゆかりのある企業や大学、団体による、多彩で奥深い京都の魅力を発信する様々なイベントが実施されます。⇒詳しくはこちら「京あるきin東京2014~恋する京都ウィークス 公式HP」
便利堂では、昨年より協賛プログラムに参加しており、「美術はがきギャラリー京都便利堂」神田神保町店が、各会場をめぐるスタンプラリーのポイント地点となっています。毎回、期間中ご来店の方に特典を設けておりますので、ぜひ皆さまのご参加をお待ちいたしております。⇒詳しい特典内容はこちら

さて、井浦さんといえば京都国立博物館の文化大使に就任されるなど京都にもご縁が深く、また先般「一般社団法人 匠文化機構」を立ち上げられ、日本のものづくりや伝統文化を伝える活動を積極的に行っておられます。
「後世に伝えたい、先祖代々から引き継がれた祭、たぐい稀な職人達の極めた技。
各地に伝承される祭りは、守り伝える人々により受け継がれてきました。
そしてまた職人達の技も同じく育まれてきたことを忘れてはいけません。
活動を通じて、日本の伝統や文化の魅力を伝え、その素晴らしさを共に分かち合う和を広げていきたいと思います。」
(匠文化機構 公式HPより ⇒リンクhttp://takuminokoto.com/)
まさにこの井浦さんの思いが詰まったのが今回の匠文化機構と便利堂コロタイプ工房のコラボレーション企画です。フォトグラファーとしても活躍されている井浦さんは、京都のさまざまな風物を取材されています。そのなかでも特に思い入れが強いのが「祇園祭」です。「京あるきin東京2014」開催に合わせ、昨年取材された祇園祭の作品から4点を厳選し、コロタイプ工房の職人が一枚一枚心を込めて刷り上げました。

「山鉾巡行-辻回し」撮影:井浦 新 コロタイプ (c)ARATA IURA 2014 無断転載厳禁


完成した作品集を前に著者近影
作品にはタイトル扉とプリント一枚一枚に井浦さん直筆のエディションとサインが入ります。



左:タイトル扉サイン 右:プリントサイン
作品や扉に書いたサインは「ものづくり」として活動しているときに使用しているサインだそうです。

「南観音山-あばれ観音」撮影:井浦 新 コロタイプ (c)ARATA IURA 2014 無断転載厳禁
これらの作品の撮影は、PENTAX 645D、PENTAX K-5Ⅱの2台のデジタルカメラを使用して撮影されました。もとの作品はカラーですが、モノクロのコロタイプとして表現されています。ご自身の写真を作品として販売するのは今回が初めて。井浦さんが刷り上がったコロタイププリントを見て思ったこととして、
「モノクロの濃淡の表現は、カラー写真より想像力が掻き立てられる。」
「宵山の南観音山の写真は(夜なので)暗い写真だが、暗い中でもあばれ観音に巻いている白い布も表現されていて、ただつぶれていないことに職人の方の技術を感じる。」
「辻回しの写真は、元画像がとても鮮やかで色の情報が多く、それはそれで祇園祭りの賑やかさを表しているが、モノクロになってみると絨毯(鉾にかかっている)の模様もモノクロのになってみて、より鮮明にわかる。」
とのコメントをいただきました。プリントを納める帙の装丁も気に入っていただけました。

「函谷鉾-祇園囃子」撮影:井浦 新 コロタイプ (c)ARATA IURA 2014 無断転載厳禁
2月4日(火)の「京あるきin東京2014」のオープニングイベントでは、門川大作京都市長、ジャズシンガーの祇園真箏さんとともに井浦さんがオープニングトークをされます。当日は、京都市のアンテナショップ「京都館」の特設販売スペースでこの作品集が先行販売されます(文末の販売情報参照)。祇園祭大船鉾の祇園囃子も披露されるということで、せひ足をお運びいただければ幸いです。当日のイベントの様子はUstreamで配信もされるようです。⇒イベントの詳細はこちら
◆

井浦新作品集
『祇 園 會 ―蘇民将来―』
限定30部 販売価格:35,000円+税
井浦氏直筆によるエディションとサイン入
コロタイプ・モノクロプリント4作品(越前手漉き鳥の子2号和紙)
イメージサイズ:250×166㎜
シートサイズ:346×256㎜
テキスト:作品メッセージ、作品解説(手漉き楮和紙)
帙装・化粧箱入
編集:一般社団法人 匠文化機構
制作:便利堂コロタイプ工房
発行:株式会社 便利堂
◆
2014年2月4日(火)より下記の2店舗で先行販売開始!
■「京あるきin東京2014」オープニングイベント会場「京都館」特設売店
(4日のみ 12:00-20:00)
会場:丸ビル1Fマルキューブ 東京都千代田区丸の内2-4-1
■「美術はがきギャラリー 京都便利堂」東京・神田神保町店
東京都千代田区神田神保町2-3-1岩波書店アネックス2階 03-5226-0015
2月10日(月)より下記の店舗等でも取り扱いを開始いたします。
■「美術はがきギャラリー京都便利堂」京都・三条富小路店 京都市中京区富小路三条上ル西側 075-253-0625
■「京都国立博物館ミュージアムショップ」京都市東山区茶屋町527 075-551-2369
■「京都文化博物館ミュージアムショップ」京都市中京区高倉通三条上ル 075-212-3931
■「老舗モール」便利堂オンラインショッピング http://www.shinise.ne.jp/benrido/
⇒井浦さん関連の記事
◎井浦新氏、コロタイプに挑戦! 2013.7.22
◎井浦新氏が訪ねる『京のろおじ』出版! コロタイプ体験を掲載! 2013.11.25
"京都創生PR事業「京あるきin東京2014」恋する京都ウィークス"
開催に合わせて出版
匠文化機構×便利堂コロタイプ工房 コラボレーション企画

「神幸祭-神輿渡御」撮影:井浦 新 コロタイプ (c)ARATA IURA 2014 無断転載厳禁

開催期間:2014年2月4日[火]-19日[水]
恒例のイベント「京あるきin東京」が来月より始まります。「京あるきin東京」とは、京都市が取組む「国家戦略としての京都創生」をより多くの方々にご理解・応援いただくために2011年から開催されているイベントです。東京都内の各所で、京都にゆかりのある企業や大学、団体による、多彩で奥深い京都の魅力を発信する様々なイベントが実施されます。⇒詳しくはこちら「京あるきin東京2014~恋する京都ウィークス 公式HP」
便利堂では、昨年より協賛プログラムに参加しており、「美術はがきギャラリー京都便利堂」神田神保町店が、各会場をめぐるスタンプラリーのポイント地点となっています。毎回、期間中ご来店の方に特典を設けておりますので、ぜひ皆さまのご参加をお待ちいたしております。⇒詳しい特典内容はこちら

さて、井浦さんといえば京都国立博物館の文化大使に就任されるなど京都にもご縁が深く、また先般「一般社団法人 匠文化機構」を立ち上げられ、日本のものづくりや伝統文化を伝える活動を積極的に行っておられます。
「後世に伝えたい、先祖代々から引き継がれた祭、たぐい稀な職人達の極めた技。
各地に伝承される祭りは、守り伝える人々により受け継がれてきました。
そしてまた職人達の技も同じく育まれてきたことを忘れてはいけません。
活動を通じて、日本の伝統や文化の魅力を伝え、その素晴らしさを共に分かち合う和を広げていきたいと思います。」
(匠文化機構 公式HPより ⇒リンクhttp://takuminokoto.com/)
まさにこの井浦さんの思いが詰まったのが今回の匠文化機構と便利堂コロタイプ工房のコラボレーション企画です。フォトグラファーとしても活躍されている井浦さんは、京都のさまざまな風物を取材されています。そのなかでも特に思い入れが強いのが「祇園祭」です。「京あるきin東京2014」開催に合わせ、昨年取材された祇園祭の作品から4点を厳選し、コロタイプ工房の職人が一枚一枚心を込めて刷り上げました。

「山鉾巡行-辻回し」撮影:井浦 新 コロタイプ (c)ARATA IURA 2014 無断転載厳禁


完成した作品集を前に著者近影
作品にはタイトル扉とプリント一枚一枚に井浦さん直筆のエディションとサインが入ります。



左:タイトル扉サイン 右:プリントサイン
作品や扉に書いたサインは「ものづくり」として活動しているときに使用しているサインだそうです。

「南観音山-あばれ観音」撮影:井浦 新 コロタイプ (c)ARATA IURA 2014 無断転載厳禁
これらの作品の撮影は、PENTAX 645D、PENTAX K-5Ⅱの2台のデジタルカメラを使用して撮影されました。もとの作品はカラーですが、モノクロのコロタイプとして表現されています。ご自身の写真を作品として販売するのは今回が初めて。井浦さんが刷り上がったコロタイププリントを見て思ったこととして、
「モノクロの濃淡の表現は、カラー写真より想像力が掻き立てられる。」
「宵山の南観音山の写真は(夜なので)暗い写真だが、暗い中でもあばれ観音に巻いている白い布も表現されていて、ただつぶれていないことに職人の方の技術を感じる。」
「辻回しの写真は、元画像がとても鮮やかで色の情報が多く、それはそれで祇園祭りの賑やかさを表しているが、モノクロになってみると絨毯(鉾にかかっている)の模様もモノクロのになってみて、より鮮明にわかる。」
とのコメントをいただきました。プリントを納める帙の装丁も気に入っていただけました。

「函谷鉾-祇園囃子」撮影:井浦 新 コロタイプ (c)ARATA IURA 2014 無断転載厳禁
2月4日(火)の「京あるきin東京2014」のオープニングイベントでは、門川大作京都市長、ジャズシンガーの祇園真箏さんとともに井浦さんがオープニングトークをされます。当日は、京都市のアンテナショップ「京都館」の特設販売スペースでこの作品集が先行販売されます(文末の販売情報参照)。祇園祭大船鉾の祇園囃子も披露されるということで、せひ足をお運びいただければ幸いです。当日のイベントの様子はUstreamで配信もされるようです。⇒イベントの詳細はこちら
◆

井浦新作品集
『祇 園 會 ―蘇民将来―』
限定30部 販売価格:35,000円+税
井浦氏直筆によるエディションとサイン入
コロタイプ・モノクロプリント4作品(越前手漉き鳥の子2号和紙)
イメージサイズ:250×166㎜
シートサイズ:346×256㎜
テキスト:作品メッセージ、作品解説(手漉き楮和紙)
帙装・化粧箱入
編集:一般社団法人 匠文化機構
制作:便利堂コロタイプ工房
発行:株式会社 便利堂
◆
2014年2月4日(火)より下記の2店舗で先行販売開始!
■「京あるきin東京2014」オープニングイベント会場「京都館」特設売店
(4日のみ 12:00-20:00)
会場:丸ビル1Fマルキューブ 東京都千代田区丸の内2-4-1
■「美術はがきギャラリー 京都便利堂」東京・神田神保町店
東京都千代田区神田神保町2-3-1岩波書店アネックス2階 03-5226-0015
2月10日(月)より下記の店舗等でも取り扱いを開始いたします。
■「美術はがきギャラリー京都便利堂」京都・三条富小路店 京都市中京区富小路三条上ル西側 075-253-0625
■「京都国立博物館ミュージアムショップ」京都市東山区茶屋町527 075-551-2369
■「京都文化博物館ミュージアムショップ」京都市中京区高倉通三条上ル 075-212-3931
■「老舗モール」便利堂オンラインショッピング http://www.shinise.ne.jp/benrido/
⇒井浦さん関連の記事
◎井浦新氏、コロタイプに挑戦! 2013.7.22
◎井浦新氏が訪ねる『京のろおじ』出版! コロタイプ体験を掲載! 2013.11.25
岩手県立美術館で講演会&ワークショップ開催!
〝ミーツ・ザ・アーティスト″「法隆寺金堂壁画とコロタイプ」
―世界最古の写真印刷技術 手刷り体験―
2013/12/23 於 岩手県立美術館

雫石川と岩手山
2013年12月23日、今年最後のコロタイプ講演とワークショップが開催されました。場所は京都から約1000km!離れた岩手県盛岡にある岩手県立美術館です。盛岡駅で新幹線を降り、雄大な岩手山とそれを囲む山々のパノラマを見ながら雫石川を渡ると美術館が見えてきます。12月の盛岡は本当に寒かったのですが、寒さでキーンと張りつめた空気と、雄大な自然はとても素晴らしいものでした。そして、その自然を借景に建てられた美術館の建築には、山本工房長と終始感動しきりでした。今回は、山本工房長の助手としてイベントに参加した鈴木がレポートします。

東北担当の鈴木あさかです。東北での講演・WSは私にご連絡ください!
約半年前、京都本社に鳴った一本の電話から今回の話は始まりました。岩手県立美術館では、「ミーツ・ザ・アーティスト」と題して、国内外で活躍するプロフェッショナルを招き、講演をしていただいたり参加者に実演体験をしてもらうことで現代のアートや伝統文化に幅広く親しんでもらうというイベントを二年前から積極的に開催されています。このイベントに、山本工房長に講師としてコロタイプのお話をしに来てほしいとのこと。そのきっかけは新聞に掲載された、法隆寺金堂壁画の記事だったそうで、「面白そう!」と新聞の記事を大切に切り抜いて保管していただいていたそうです。なんとありがたいお話でしょうか。

「法隆寺金堂壁画 六号壁」と「夏秋草図屏風」
今回は美術館のご厚意もあり、講演と同時にコロタイプ作品の展示も実現しました。80年前にモノクロで刷られた「法隆寺金堂壁画 六号壁」と、多色刷りの最新作「夏秋草図屏風」が並んで展示されました。どちらも原寸大の大作であり、複製といえども、この二作品が同時に並ぶ機会はそうそうありません。また、美術館の2階フロアーでは「鳥獣人物戯画」や「一遍上人絵伝」をはじめとした絵巻の原寸大複製や、便利堂コロタイプの歴史を象徴する明治時代の古はがき、そして近年制作された写真の作品と、幅広いジャンルを展示いただきました。

展示風景
今回の「ミーツ・ザ・アーティスト」では、コロタイプについての講演と、手刷体験、更にコロタイプによる複製や写真作品を実見していただくという、五感をフル活用してコロタイプを感じていただく内容となりました。京都の工房から遠く離れた盛岡の地で実現できたことは、大変光栄な機会であり、今後もこのような出張イベント通して、より多くの方にコロタイプを感じていただきたい!という意欲にも繋がりました。

いよいよイベントの開始です。
最初の40分は、「コロタイプとは何?」を中心に、モノクロ写真草創期の話から、便利堂のコロタイプの歴史について、工房長が熱い講演を行いました。すっかりお馴染みとなっている、若き日の工房長の卒業アルバムを使った「コロタイプ」と「オフセット」の違いに関する説明などでは、会場から笑いが溢れ和やかな雰囲気でした。そして、今回の講演タイトルにもあった法隆寺金堂壁壁画についてのお話では、皆さんに文化財保存の尊さや、コロタイプの意義について考えていただく契機になったのではないかと感じています。
VTRで京都のコロタイプ工房の作業の様子を見ていただき、実際の刷り本を使って多色刷りコロタイプの分色と、色の掛け合わせを説明し講演は終了、次はお待ちかねのワークショップです。今回の参加者は約35名。「実際に体験したい人いらっしゃいますか?」司会者からの問いかけに、沢山の手が上がりました。限られた時間の中ではありましたが、最終的には35名ほぼ全員の方にコロタイプの手刷りを体験していただけました。

先ずは工房長の実演から。固いインクや厚いガラスにゼラチンが塗られた版に皆さん興味深々。道具を並べた机の前にみなさんどんどん集まります。インクを版にのせ、法隆寺金堂壁画6号壁に描かれた菩薩像が、くっきりと姿をあらわした時には歓声が漏れました。

そのあと盛岡の皆さんにコロタイプを体験していただきます。女性も男性も、年齢も関係なく、とても楽しそうにローラーで版にインクをいれていらっしゃる姿が印象的でした。刷り終わった後に、もう一度列に並び直し、紙を変えて2回刷る方もちらほら。今回、この講演とワークショップが開催された美術館のホールは、温度と湿度調整をコロタイプに最適な状況にしていただいていたので、版の調子も良く、どの作品も個性はあるもののとても綺麗に仕上がっていました。京都本社以外の場所で、このように沢山の方に参加いただくワークショップは今回が初めてだったのではないでしょうか。期待と不安でいっぱいでしたが、結果は思いのほか順調、とても楽しいひと時となりました。


岩手県立美術館の加藤さんを中心に、ご協力いただいたスタッフや学芸の皆様に心より感謝申し上げます。京都から離れた場所で、多くの方に益々!!!コロタイプに興味を持っていただけるよう、今後もこのような活動を続けていきたいと思います。

■参加者のみなさまからの感想(2014年1月21日追記)
「今回友達の誘いで、初めて「コロタイプ」というものを知り、美術品の保存や歴史等とても興味がわきました」
「体験ができ、とても嬉しかったです。その仕組みを知ることができて良かったです。」
「とても手間のかかる印刷ですが、手間をかけた分、美しく残すことができる印刷だということが良くわかりました。次回は多色印刷ができると良いなあ。」
「コロタイプのすばらしさを知っておどろいた。拡大したときの精密さに感動した。体験がとても楽しかった。今度法隆寺に行くことに決めました。ぜひ壁画を現地で見てみたいです。」
「京都に行くと、奈良に寄ることが多く、法隆寺をお参りしました。そこで興味を持って来ました。「保存」といってもすごく大変な作業と思いました。印刷作業に参加させていただきありがとうございました。」
「講師の方の楽しいお話に聞き入りました。」
「山本さんの人柄、文化財、仏さん等、大切に扱われておられることに感動いたしました。」
そのほか多数ご感想を寄せていただきました。ありがとうございました。
―世界最古の写真印刷技術 手刷り体験―
2013/12/23 於 岩手県立美術館

雫石川と岩手山
2013年12月23日、今年最後のコロタイプ講演とワークショップが開催されました。場所は京都から約1000km!離れた岩手県盛岡にある岩手県立美術館です。盛岡駅で新幹線を降り、雄大な岩手山とそれを囲む山々のパノラマを見ながら雫石川を渡ると美術館が見えてきます。12月の盛岡は本当に寒かったのですが、寒さでキーンと張りつめた空気と、雄大な自然はとても素晴らしいものでした。そして、その自然を借景に建てられた美術館の建築には、山本工房長と終始感動しきりでした。今回は、山本工房長の助手としてイベントに参加した鈴木がレポートします。

東北担当の鈴木あさかです。東北での講演・WSは私にご連絡ください!
約半年前、京都本社に鳴った一本の電話から今回の話は始まりました。岩手県立美術館では、「ミーツ・ザ・アーティスト」と題して、国内外で活躍するプロフェッショナルを招き、講演をしていただいたり参加者に実演体験をしてもらうことで現代のアートや伝統文化に幅広く親しんでもらうというイベントを二年前から積極的に開催されています。このイベントに、山本工房長に講師としてコロタイプのお話をしに来てほしいとのこと。そのきっかけは新聞に掲載された、法隆寺金堂壁画の記事だったそうで、「面白そう!」と新聞の記事を大切に切り抜いて保管していただいていたそうです。なんとありがたいお話でしょうか。

「法隆寺金堂壁画 六号壁」と「夏秋草図屏風」
今回は美術館のご厚意もあり、講演と同時にコロタイプ作品の展示も実現しました。80年前にモノクロで刷られた「法隆寺金堂壁画 六号壁」と、多色刷りの最新作「夏秋草図屏風」が並んで展示されました。どちらも原寸大の大作であり、複製といえども、この二作品が同時に並ぶ機会はそうそうありません。また、美術館の2階フロアーでは「鳥獣人物戯画」や「一遍上人絵伝」をはじめとした絵巻の原寸大複製や、便利堂コロタイプの歴史を象徴する明治時代の古はがき、そして近年制作された写真の作品と、幅広いジャンルを展示いただきました。

展示風景
今回の「ミーツ・ザ・アーティスト」では、コロタイプについての講演と、手刷体験、更にコロタイプによる複製や写真作品を実見していただくという、五感をフル活用してコロタイプを感じていただく内容となりました。京都の工房から遠く離れた盛岡の地で実現できたことは、大変光栄な機会であり、今後もこのような出張イベント通して、より多くの方にコロタイプを感じていただきたい!という意欲にも繋がりました。

いよいよイベントの開始です。
最初の40分は、「コロタイプとは何?」を中心に、モノクロ写真草創期の話から、便利堂のコロタイプの歴史について、工房長が熱い講演を行いました。すっかりお馴染みとなっている、若き日の工房長の卒業アルバムを使った「コロタイプ」と「オフセット」の違いに関する説明などでは、会場から笑いが溢れ和やかな雰囲気でした。そして、今回の講演タイトルにもあった法隆寺金堂壁壁画についてのお話では、皆さんに文化財保存の尊さや、コロタイプの意義について考えていただく契機になったのではないかと感じています。
VTRで京都のコロタイプ工房の作業の様子を見ていただき、実際の刷り本を使って多色刷りコロタイプの分色と、色の掛け合わせを説明し講演は終了、次はお待ちかねのワークショップです。今回の参加者は約35名。「実際に体験したい人いらっしゃいますか?」司会者からの問いかけに、沢山の手が上がりました。限られた時間の中ではありましたが、最終的には35名ほぼ全員の方にコロタイプの手刷りを体験していただけました。

先ずは工房長の実演から。固いインクや厚いガラスにゼラチンが塗られた版に皆さん興味深々。道具を並べた机の前にみなさんどんどん集まります。インクを版にのせ、法隆寺金堂壁画6号壁に描かれた菩薩像が、くっきりと姿をあらわした時には歓声が漏れました。

そのあと盛岡の皆さんにコロタイプを体験していただきます。女性も男性も、年齢も関係なく、とても楽しそうにローラーで版にインクをいれていらっしゃる姿が印象的でした。刷り終わった後に、もう一度列に並び直し、紙を変えて2回刷る方もちらほら。今回、この講演とワークショップが開催された美術館のホールは、温度と湿度調整をコロタイプに最適な状況にしていただいていたので、版の調子も良く、どの作品も個性はあるもののとても綺麗に仕上がっていました。京都本社以外の場所で、このように沢山の方に参加いただくワークショップは今回が初めてだったのではないでしょうか。期待と不安でいっぱいでしたが、結果は思いのほか順調、とても楽しいひと時となりました。


岩手県立美術館の加藤さんを中心に、ご協力いただいたスタッフや学芸の皆様に心より感謝申し上げます。京都から離れた場所で、多くの方に益々!!!コロタイプに興味を持っていただけるよう、今後もこのような活動を続けていきたいと思います。

■参加者のみなさまからの感想(2014年1月21日追記)
「今回友達の誘いで、初めて「コロタイプ」というものを知り、美術品の保存や歴史等とても興味がわきました」
「体験ができ、とても嬉しかったです。その仕組みを知ることができて良かったです。」
「とても手間のかかる印刷ですが、手間をかけた分、美しく残すことができる印刷だということが良くわかりました。次回は多色印刷ができると良いなあ。」
「コロタイプのすばらしさを知っておどろいた。拡大したときの精密さに感動した。体験がとても楽しかった。今度法隆寺に行くことに決めました。ぜひ壁画を現地で見てみたいです。」
「京都に行くと、奈良に寄ることが多く、法隆寺をお参りしました。そこで興味を持って来ました。「保存」といってもすごく大変な作業と思いました。印刷作業に参加させていただきありがとうございました。」
「講師の方の楽しいお話に聞き入りました。」
「山本さんの人柄、文化財、仏さん等、大切に扱われておられることに感動いたしました。」
そのほか多数ご感想を寄せていただきました。ありがとうございました。