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《コロタイプギャラリー支配人(代理)から次回展のお知らせ》
第2回「コロタイプ手刷りプリントのおもしろさ」展開催のお知らせ
2014年6月24日(火)~7月18日(金)12:00~19:00 (土・日曜日は休廊)


はじめまして。今年度入社しました便利堂、営業の平島蓮美と申します。
来週24日(火)から7月18日(金)まで、便利堂コロタイプギャラリーにおいて恒例となりました「コロタイプ手刷りプリントのおもしろさ」展がはじまります! 去年スタートしたこの企画は、コロタイプのおもしろさを改めて実感すべく、弊社社員が実際にワークショップを体験し、その制作結果を展示しようというものです。⇒前回のワークショップの様子はこちら

今回エントリーした社員は総勢52名。ちなみに昨年度の参加人数48名を上回っております。自作コロタイプの魅力に取り憑かれたということでしょうか? 私自身、今回が初めてのワークショップの挑戦です。自分の体験から、その魅力について探ってみました。⇒第1回の出品作品全点はこちら
文化財の複製等でおなじみのコロタイプ。インキの調子を自在に操り、いかに本物に近づけるかというのは長年の経験により培われる職人技です。しかし、言い方を変えるとどんな表現でもできてしまうということ。刷り手のこだわりを忠実に反映することもできますし、逆に意図しなかったおもしろさが出てきてしまう場合もあります。

緊張の一瞬です
おもしろさ①:用いる紙で広がる表現世界

たくさんの紙が並んでいます!
作品を表現するとき、どのような紙の上に表現するかによって、その仕上がりはもちろん変化します。雁皮、楮などの和紙をはじめ、平滑な洋紙あるいは逆に繊維の凹凸が個性的な絹本など…さまざまな用紙にプリントすることができるのはコロタイプの魅力の一つです。
それぞれ各自が自分の写真のイメージにあう用紙はどれだろうと試行錯誤した結果の一枚が展示作品です。その組み合わせの妙味を楽しむのも本展のみどころのひとつです。

おもしろさ②:インキングのコントロール
インキを均一に伸ばすことにより、ムラのない作品に仕上げることができます。この作業が案外難しく、工房の職人さんに伸ばしていただきました…。

ムラなしの職人技です
手刷りプリントの醍醐味ともいえるのが、ガラス刷版の上でローラーをコロコロする作業ではないでしょうか。その速さにより、刷り上がりの濃淡、コントラスト、シャープさまで自由自在に表現することができます。

どっぷりとのめり込んでおります
原画より柔らかい風合いになったり、画面の周りがほの暗くなってしまったり…。同じガラス刷版を使いまわしても毎回雰囲気が異なる仕上がりになるため、その一回一回が真剣勝負と言えます。何気なく撮影した写真でも、コロタイプ独特の味わいで全く違った雰囲気になります。次はどのように刷り上がるのか…? 刷りあがった時の感動に期待してしまいコロコロする手が止まりません!
みんなでコロコロ、コロタイプ
なるほど、コロタイプっておもしろいです。たいへん楽しいワークショップでした。
展示期間中は、ギャラリー内に投票箱を設置いたします。(☆ご投票くださった方にはポストカードをプレゼント! 6月30日まで)
昨年度の投票結果で火が付いた社員の作品は、工房の職人の折り紙つき。ますます粒ぞろいのものとなっております。お時間ございましたら是非ご投票のほど、よろしくお願いいたします。
■コロタイプ工房では、一般の参加者を対象に、年に数回不定期でワークショップを開催しています。弊社SNSで随時募集のお知らせをしておりますが、ギャラリーに設置された芳名録にご記帳いただければ直接ご案内をご連絡させていただきます。
会期 2014年6月24日(火)~7月18日(金) 12:00~19:00 ※土・日曜日は休廊。
お問い合わせ先 株式会社便利堂 075-231-4351(代表) ※平日9:00~18:00
便利堂ホームページ http://www.benrido.co.jp/
Twitter @kyotobenrido
2014年6月24日(火)~7月18日(金)12:00~19:00 (土・日曜日は休廊)


はじめまして。今年度入社しました便利堂、営業の平島蓮美と申します。
来週24日(火)から7月18日(金)まで、便利堂コロタイプギャラリーにおいて恒例となりました「コロタイプ手刷りプリントのおもしろさ」展がはじまります! 去年スタートしたこの企画は、コロタイプのおもしろさを改めて実感すべく、弊社社員が実際にワークショップを体験し、その制作結果を展示しようというものです。⇒前回のワークショップの様子はこちら

今回エントリーした社員は総勢52名。ちなみに昨年度の参加人数48名を上回っております。自作コロタイプの魅力に取り憑かれたということでしょうか? 私自身、今回が初めてのワークショップの挑戦です。自分の体験から、その魅力について探ってみました。⇒第1回の出品作品全点はこちら
文化財の複製等でおなじみのコロタイプ。インキの調子を自在に操り、いかに本物に近づけるかというのは長年の経験により培われる職人技です。しかし、言い方を変えるとどんな表現でもできてしまうということ。刷り手のこだわりを忠実に反映することもできますし、逆に意図しなかったおもしろさが出てきてしまう場合もあります。

緊張の一瞬です
おもしろさ①:用いる紙で広がる表現世界

たくさんの紙が並んでいます!
作品を表現するとき、どのような紙の上に表現するかによって、その仕上がりはもちろん変化します。雁皮、楮などの和紙をはじめ、平滑な洋紙あるいは逆に繊維の凹凸が個性的な絹本など…さまざまな用紙にプリントすることができるのはコロタイプの魅力の一つです。
それぞれ各自が自分の写真のイメージにあう用紙はどれだろうと試行錯誤した結果の一枚が展示作品です。その組み合わせの妙味を楽しむのも本展のみどころのひとつです。

おもしろさ②:インキングのコントロール
インキを均一に伸ばすことにより、ムラのない作品に仕上げることができます。この作業が案外難しく、工房の職人さんに伸ばしていただきました…。

ムラなしの職人技です
手刷りプリントの醍醐味ともいえるのが、ガラス刷版の上でローラーをコロコロする作業ではないでしょうか。その速さにより、刷り上がりの濃淡、コントラスト、シャープさまで自由自在に表現することができます。

どっぷりとのめり込んでおります
原画より柔らかい風合いになったり、画面の周りがほの暗くなってしまったり…。同じガラス刷版を使いまわしても毎回雰囲気が異なる仕上がりになるため、その一回一回が真剣勝負と言えます。何気なく撮影した写真でも、コロタイプ独特の味わいで全く違った雰囲気になります。次はどのように刷り上がるのか…? 刷りあがった時の感動に期待してしまいコロコロする手が止まりません!
みんなでコロコロ、コロタイプ
なるほど、コロタイプっておもしろいです。たいへん楽しいワークショップでした。
展示期間中は、ギャラリー内に投票箱を設置いたします。(☆ご投票くださった方にはポストカードをプレゼント! 6月30日まで)
昨年度の投票結果で火が付いた社員の作品は、工房の職人の折り紙つき。ますます粒ぞろいのものとなっております。お時間ございましたら是非ご投票のほど、よろしくお願いいたします。
■コロタイプ工房では、一般の参加者を対象に、年に数回不定期でワークショップを開催しています。弊社SNSで随時募集のお知らせをしておりますが、ギャラリーに設置された芳名録にご記帳いただければ直接ご案内をご連絡させていただきます。
会期 2014年6月24日(火)~7月18日(金) 12:00~19:00 ※土・日曜日は休廊。
お問い合わせ先 株式会社便利堂 075-231-4351(代表) ※平日9:00~18:00
便利堂ホームページ http://www.benrido.co.jp/
Twitter @kyotobenrido
Benrido Collotype inks are handmade by craftsmen
VIDEO

Currently, there are 60 colors of inks. We mix and knead them to create colors.
We, Benrido Collotype Atelier, order special custom made inks for collotype.
Mitsuboshi Ink CO.,LTD in Sakai, Osaka makes those specially made inks for us. Collotype inks contain average 60% of pigments. Therefore they have great heat and weather resistance.

LOGO of Mitsuboshi Ink
An article named “Image stability of collotype print” which compares weather-resistance of collotype and inkjet was published in an annual of Tokyo Metropolitan Museum of photography in 2011.
The article says: Both color materials have great preservative quality in dark place and light resistance (Inkjet was slightly better), But about discoloration when exposed to ozone, collotype prints showed greater resistance than inkjet prints. It also says there is still not enough reliability to change collotype to inkjet.
⇒read more “Image stability of collotype print”
YAMAGUCHI Takako / Conservator, Tokyo Metropolitan Museum of Photography
TAKAHASHI Norihide / College of Art, Nihon University
OKAWA Yusuke / Graduate School of Advanced Integration Science, Chiba University
How to make Collotype inks

Base of Collotype Ink, medium, RESIN VARNISH (Right) and its materials.
(From left)Resin, linseed oil, soy oil, Resin varnish high viscosity, medium viscosity
Printing Inks are usually made of color materials, medium (vehicle), assistant.
Quality oils(linseed oil and Soy oil) and high viscosity Resin Varnish are used to make vehicle for collotype ink.

Color materials
The R&D team of Mitsuboshi Ink picks pigments and makes combinations of colors to create inks that color tones and weather resistance matches our needs, Follows developed recipes, pigments, varnish and assistants are mixed. Usually, inks are mass-produced by machines. But collotype inks are handmade.

Taking varnish. Mixing high and medium viscosity varnish.

Then mix pigments.

Mixed materials of Ink.
Collotype inks contain a lot of pigments. Therefore it cannot be knead well if all the pigment is put at once.

So mix varnish and half of the pigment at first.

Put materials in the mixing machine. When most of it is mixed, put the other half of pigment. It needs a lot of works of a craftsman.

Almost done.

Put it in the cans and put labels.
Benrido special Collotype inks are completed.

Without these inks, we cannot collotype. Even Benrido orders only a few of each color, many craftsmen spend time and effort to make those high quality. Without Mitsuboshi Inks cooperation, Benrido collotype cannot exist.
“We are proud these inks become facsimiles of cultural heritages and art works by collotype and remain to future”
We sincerely appreciate Mitsuboshi ink’s cooperations.
Frequently asked question: How large can collotype print?

How large collotype can print depends on the size of machines.
Visitors of our Collotype atelier often get impressed by printing machines which have long been used. Currently, Benrido collotype atelier has six hatbed cylinder press machines. And most of them have been used for more than half a century.

From this side, Machine5 (introduced in 1973), Machine4 (transferred in 1988), Machine3(1959), Machine2 (1964). We also have Machine6(1960, not in the picture)
All were made by Mitani Factory in Nagoya.

This is the large size Collotype print machine (introduced 1995,Hirose factory).
We call it “Dax”.
Except Dax, the largest size collotype machines can print is basically:
508×609.6mm=20×24inches

Gelatin plate.
Things that larger than the plate cannot be printed, of course.
The largest size “Dax” can print is 24×48 inches (1200mm×600mm)

A gelatin plate for “Dax” is big like above.
To make larger size than above such as facsimiles of cultural heritages, paste some papers together and make a larger picture.
The best example of that is Horyu-ji kondo Wall Painting Original size facsimile.

◆In additions◆

A Printer used from foundation to 1954

Benrido atelier in 1927

Benrido atelier in 1936
技法解説4:コロタイプインキと画像保存性
インキも職人さんが手作りでつくってくれてます!

コロタイプインキ 現在約60色ほどあり、これらを練り合わせて色を作り出していく
便利堂コロタイプ工房では、コロタイプ用のインキを特注で制作をお願いしています。便利堂のために特別調製を請け負っていただいているのは大阪堺市にある三星インキさんです。コロタイプのインキは顔料が平均60%という非常に高い含有率のため、耐候性耐光性に優れています。

三星インキ株式会社ロゴ
コロタイプの保存性に関しては、東京都写真美術館 紀要10号(2011年)に「コロタイプ印刷の画像保存性」と題し、コロタイプとインクジェットの耐候性を比較検証した論文が掲載されています。耐候性は、温湿度、光、ガス(オゾン)の3点から検証されます。この論文では、暗所保存性と耐光性については、全般的にはどちらの色材も耐久性が高いが(インクジェットの方がやや上回っている)、オゾン曝露による変色では、技法による違いが顕著に現れ、コロタイプ印刷の方がインクジェット・プリントよりも耐オゾン性が高い結果が得られたとし、「コロタイプ印刷からインクジェット・プリントへ移行するには、まだ十分な信頼性があるとは言い切れない」と結論付けています。
⇒全文「コロタイプ印刷の画像保存性」(山口孝子・東京都写真美術館 保存科学専門員、高橋則英・日本大学芸術学部、大川祐輔・千葉大学大学院融合科学研究科)
コロタイプインキのできるまで

コロタイプインキのベースとなる展色剤(ビヒクル)である合成樹脂ワニスとその材料。
左より、樹脂(ロジン変性フェノール系)、油(亜麻仁油、大豆油)、合成樹脂ワニス(中粘度、高粘度)
では、そのコロタイプインキはどのようにつくられるのでしょう。
印刷インキは一般的に「色材」「展色剤(ビヒクル)」「助剤」からなります。展色材とは、インキのベースとなる液状物質で、これに顔料を加えて練り上げることでインキができます。コロタイプインキのビヒクルには、良質の油(亜麻仁油、大豆油)と樹脂から作った高粘度の合成樹脂ワニスが使われています。それをベースに中粘度のワニスもブレンドしているようです。

色材
三星インキさんの研究開発チームは、色材である顔料を選び組み合わせ、工房が要望した色調と耐候性を兼ね備えたインキを日々開発していただいています。開発したレシピに準じて、ワニス、顔料、助剤を合わせていきます。通常のインキ製造は機械で大量生産されますが、ごく少量しか必要のないコロタイプインキの製造は手作業でつくっていただいています。

ワニスのとりわけ。職人さんの慣れた手つきでワニスが丸められていきます。高粘度と中粘度をブレンドします。

次に顔料の調合

調合が済んだインキの材料。コロタイプは顔料の含有率が多く顔料を全量一度に入れてしまうとうまく練り合わせられません。

そこで、ワニスと顔料の半分を一旦おおまかに混ぜ合わせます。

混ぜ合わせた材料を練り機にかけ、あらかたまとまったところで、そこにさらに第2弾の顔料を投入します。職人さんがつきっきりでヘラを使って何度も何度もローラーをくぐらせ練り込んでいきます。

だいぶん粉っぽさがなくなり完成に近づいています。

缶に手詰めし、ラベルを貼れば便利堂特製コロタイプインキの完成!

このインキがないとコロタイプはできません。しかし便利堂がオーダーするのは、多くても1色につき数缶です。そのために多くの職人さんが手間暇をかけて良質のインキを製造していただいています。三星インキさんの採算度外視のご協力なしに、コロタイプは成り立ちません。「このインキがコロタイプによって文化財複製や芸術作品になり、後世に遺るものとなるのが誇りです」と三星インキはおっしゃいます。三星さんのご協力に感謝しつつ、さらにインキのいろんな可能性や改善のために工房としても研究を進めていきたいと思います。

コロタイプインキ 現在約60色ほどあり、これらを練り合わせて色を作り出していく
便利堂コロタイプ工房では、コロタイプ用のインキを特注で制作をお願いしています。便利堂のために特別調製を請け負っていただいているのは大阪堺市にある三星インキさんです。コロタイプのインキは顔料が平均60%という非常に高い含有率のため、耐候性耐光性に優れています。

三星インキ株式会社ロゴ
コロタイプの保存性に関しては、東京都写真美術館 紀要10号(2011年)に「コロタイプ印刷の画像保存性」と題し、コロタイプとインクジェットの耐候性を比較検証した論文が掲載されています。耐候性は、温湿度、光、ガス(オゾン)の3点から検証されます。この論文では、暗所保存性と耐光性については、全般的にはどちらの色材も耐久性が高いが(インクジェットの方がやや上回っている)、オゾン曝露による変色では、技法による違いが顕著に現れ、コロタイプ印刷の方がインクジェット・プリントよりも耐オゾン性が高い結果が得られたとし、「コロタイプ印刷からインクジェット・プリントへ移行するには、まだ十分な信頼性があるとは言い切れない」と結論付けています。
⇒全文「コロタイプ印刷の画像保存性」(山口孝子・東京都写真美術館 保存科学専門員、高橋則英・日本大学芸術学部、大川祐輔・千葉大学大学院融合科学研究科)
コロタイプインキのできるまで

コロタイプインキのベースとなる展色剤(ビヒクル)である合成樹脂ワニスとその材料。
左より、樹脂(ロジン変性フェノール系)、油(亜麻仁油、大豆油)、合成樹脂ワニス(中粘度、高粘度)
では、そのコロタイプインキはどのようにつくられるのでしょう。
印刷インキは一般的に「色材」「展色剤(ビヒクル)」「助剤」からなります。展色材とは、インキのベースとなる液状物質で、これに顔料を加えて練り上げることでインキができます。コロタイプインキのビヒクルには、良質の油(亜麻仁油、大豆油)と樹脂から作った高粘度の合成樹脂ワニスが使われています。それをベースに中粘度のワニスもブレンドしているようです。

色材
三星インキさんの研究開発チームは、色材である顔料を選び組み合わせ、工房が要望した色調と耐候性を兼ね備えたインキを日々開発していただいています。開発したレシピに準じて、ワニス、顔料、助剤を合わせていきます。通常のインキ製造は機械で大量生産されますが、ごく少量しか必要のないコロタイプインキの製造は手作業でつくっていただいています。

ワニスのとりわけ。職人さんの慣れた手つきでワニスが丸められていきます。高粘度と中粘度をブレンドします。

次に顔料の調合

調合が済んだインキの材料。コロタイプは顔料の含有率が多く顔料を全量一度に入れてしまうとうまく練り合わせられません。

そこで、ワニスと顔料の半分を一旦おおまかに混ぜ合わせます。

混ぜ合わせた材料を練り機にかけ、あらかたまとまったところで、そこにさらに第2弾の顔料を投入します。職人さんがつきっきりでヘラを使って何度も何度もローラーをくぐらせ練り込んでいきます。

だいぶん粉っぽさがなくなり完成に近づいています。

缶に手詰めし、ラベルを貼れば便利堂特製コロタイプインキの完成!

このインキがないとコロタイプはできません。しかし便利堂がオーダーするのは、多くても1色につき数缶です。そのために多くの職人さんが手間暇をかけて良質のインキを製造していただいています。三星インキさんの採算度外視のご協力なしに、コロタイプは成り立ちません。「このインキがコロタイプによって文化財複製や芸術作品になり、後世に遺るものとなるのが誇りです」と三星インキはおっしゃいます。三星さんのご協力に感謝しつつ、さらにインキのいろんな可能性や改善のために工房としても研究を進めていきたいと思います。
技法解説3:コロタイプ印刷機とプリントサイズ
よくいただくご質問「どのサイズまでプリントできるのですか?」にお答えします

コロタイプ5号機(昭和48年導入 名古屋・三谷製作所製)
プリントの最大サイズは印刷機のサイズで決まります
工房に足を踏み入れた見学者の方がインキのにおいと共に感動されるのが、よく使いこまれて年季の入ったコロタイプ印刷機です。現在、コロタイプ工房では6機の円圧式印刷機が稼働しています。そのほとんどが、約半世紀にわたって活躍し続けています。

手前より、5号機(昭和48年導入)、4号機(昭和63年に遠藤写真工芸所より譲り受ける)、3号機(昭和34年導入)、2号機(昭和39年導入)。 写真では見えませんが、画面左奥に6号機(昭和35年導入)があります。いずれも名古屋の三谷製作所製(現在1号は欠番)。

一番奥に鎮座するのが大判コロタイプ印刷機「Dax」(平成7年導入。廣瀬鉄工製)。「Dax」の愛称は社内公募で命名されました(命名由来の資料がいま手許が無いので、また後日加筆します)。
Daxをのぞき、基本的に印刷機は大全紙(508×609.6mm)=20×24インチがプリントできるマシンとなっています。つまり、
最大サイズは 20×24インチ
ということになります。これ以内の寸法でしたら、どのようなサイズのプリントも可能です。ただし、5号機だけすこし版面が大きく、20×28インチ(720×500mm)まで可能です。

印刷機に取り付けられた大全サイズが刷れるゼラチン版。版より大きいものは当然ながら刷れません。
大判コロタイプ印刷機「Dax 」の最大サイズは 24×48インチ(1200×600mm)

Daxのゼラチン版はこれぐらい大きくなります。
これらのサイズより大きなものを制作する場合、文化財の複製などは、つなぎ合わせて一枚の大きな画面を作ることになります。その一番の好例が、法隆寺金堂壁画の原寸大複製です。⇒くわしくはこちら
Daxは特注で制作しており、逆に言うと大きいマシンを作れば、もっと大きなプリントが作れることになります。ちなみに、アメリカのコロタイプ全盛時代には「ブラックボックス」と呼ばれるDaxと同じくらいのサイズが刷れる巨大マシンが稼働していました。2005年に「国際コロタイプ会議」(⇒くわしくはこちら)で訪れたブリストルの西イングランド大学にはDaxより大きなプリントを作れる平圧式のマシンがありました。
おまけ:便利堂コロタイプ工房の印刷機の変遷

明治期から昭和29年(1954)まで使われていた「手刷り平台印刷機」(京都本社1Fに展示)
便利堂コロタイプ工房は、明治20年に書店として創業した便利堂が、当時ブームを迎えていた絵はがきを内製化するために明治38年に開設されました。この明治期に導入した印刷機が1機、便利堂に保存され展示されています(上掲)。

新工房が設置された昭和2年(1927)のコロタイプ印刷作業場。画面では7機の印刷機が確認できる。
工房開設時、何機の印刷機があったか記録にはありませんが、22年後の昭和2年(1927)に原色版印刷機もあらたに導入され、新工房が設置された時の写真をみると、7機ぐらいの手刷り印刷機が稼働していたことが確認できます。この頃は絵はがきブームも去り、社寺の写真帖や絵はがき、博物館の展覧会図録や画集などを専門に印刷を行っていました。

昭和11年頃(1936)、特設工房(於 大雲院)にて法隆寺金堂壁画原寸大複製の作業風景
昭和11年には、法隆寺金堂壁画の原寸大複製を制作するために、当時河原町四条下ルにあった大雲院様のご協力いただき、印刷から表装まで一貫して行う特設工房を寺内に設置して作業を行っていました(上掲)。
記録によると、昭和14年(1939)には、「手刷平台印刷機」12機、「動力式印刷機」2機(昭和4年頃導入。その後廃棄)、昭和6年に導入した「大型平台印刷機(デカ版)」1機(近年停止)、の計15機が稼働していたとあります。「動力式印刷機」がどのようなものか定かではありませんが、現在稼働している円圧式の動力機ではなく、平台式の動力機だったと思われます。
その後、手動式から動力式に順次移行して行き、戦後間もない昭和22年(1947)には「大全動力機」2機、「全紙動力機」3機、「手刷機」10機、「デカ版」1機の計16機。27年には「動力機」計4機、「手刷機」計4機の8機と記録されています。
昭和29年には、「手刷平台印刷」部門は廃止となり、印刷機は処分されましたが、何機か資料として残され、1機は博物館明治村に寄贈され、1機は便利堂本社に保管されています。
昭和30年以降は、円圧式の動力機が次々と導入され、最終的に前述した現在の6機体制となっています。

昭和39年頃(1964)の工房
上掲の写真は、今から50年前の昭和39年の工房の様子です。現在の工房の場所とは少し違っていますが、印刷機や全体の雰囲気はこの時代から今もほとんど変わっていません。

現在(平成26年)の工房
ちなみに、昭和39年の写真に写った紙差し作業を行っている紅顔の美少年は、上の写真で紙差しをしているベテラン職人・竹口さんの50年前の姿です。機械も職人もいい味がでてますね。

近年ワークショップで活躍中の小型レタープレス機(とりあえず欠番の「1号機」で呼びたいと思います。最近A3判をプリントできる、さらに大きなレタープレス機を導入しました。この詳細については、また追って。

コロタイプ5号機(昭和48年導入 名古屋・三谷製作所製)
プリントの最大サイズは印刷機のサイズで決まります
工房に足を踏み入れた見学者の方がインキのにおいと共に感動されるのが、よく使いこまれて年季の入ったコロタイプ印刷機です。現在、コロタイプ工房では6機の円圧式印刷機が稼働しています。そのほとんどが、約半世紀にわたって活躍し続けています。

手前より、5号機(昭和48年導入)、4号機(昭和63年に遠藤写真工芸所より譲り受ける)、3号機(昭和34年導入)、2号機(昭和39年導入)。 写真では見えませんが、画面左奥に6号機(昭和35年導入)があります。いずれも名古屋の三谷製作所製(現在1号は欠番)。

一番奥に鎮座するのが大判コロタイプ印刷機「Dax」(平成7年導入。廣瀬鉄工製)。「Dax」の愛称は社内公募で命名されました(命名由来の資料がいま手許が無いので、また後日加筆します)。
Daxをのぞき、基本的に印刷機は大全紙(508×609.6mm)=20×24インチがプリントできるマシンとなっています。つまり、
最大サイズは 20×24インチ
ということになります。これ以内の寸法でしたら、どのようなサイズのプリントも可能です。ただし、5号機だけすこし版面が大きく、20×28インチ(720×500mm)まで可能です。

印刷機に取り付けられた大全サイズが刷れるゼラチン版。版より大きいものは当然ながら刷れません。
大判コロタイプ印刷機「Dax 」の最大サイズは 24×48インチ(1200×600mm)

Daxのゼラチン版はこれぐらい大きくなります。
これらのサイズより大きなものを制作する場合、文化財の複製などは、つなぎ合わせて一枚の大きな画面を作ることになります。その一番の好例が、法隆寺金堂壁画の原寸大複製です。⇒くわしくはこちら
Daxは特注で制作しており、逆に言うと大きいマシンを作れば、もっと大きなプリントが作れることになります。ちなみに、アメリカのコロタイプ全盛時代には「ブラックボックス」と呼ばれるDaxと同じくらいのサイズが刷れる巨大マシンが稼働していました。2005年に「国際コロタイプ会議」(⇒くわしくはこちら)で訪れたブリストルの西イングランド大学にはDaxより大きなプリントを作れる平圧式のマシンがありました。
おまけ:便利堂コロタイプ工房の印刷機の変遷

明治期から昭和29年(1954)まで使われていた「手刷り平台印刷機」(京都本社1Fに展示)
便利堂コロタイプ工房は、明治20年に書店として創業した便利堂が、当時ブームを迎えていた絵はがきを内製化するために明治38年に開設されました。この明治期に導入した印刷機が1機、便利堂に保存され展示されています(上掲)。

新工房が設置された昭和2年(1927)のコロタイプ印刷作業場。画面では7機の印刷機が確認できる。
工房開設時、何機の印刷機があったか記録にはありませんが、22年後の昭和2年(1927)に原色版印刷機もあらたに導入され、新工房が設置された時の写真をみると、7機ぐらいの手刷り印刷機が稼働していたことが確認できます。この頃は絵はがきブームも去り、社寺の写真帖や絵はがき、博物館の展覧会図録や画集などを専門に印刷を行っていました。

昭和11年頃(1936)、特設工房(於 大雲院)にて法隆寺金堂壁画原寸大複製の作業風景
昭和11年には、法隆寺金堂壁画の原寸大複製を制作するために、当時河原町四条下ルにあった大雲院様のご協力いただき、印刷から表装まで一貫して行う特設工房を寺内に設置して作業を行っていました(上掲)。
記録によると、昭和14年(1939)には、「手刷平台印刷機」12機、「動力式印刷機」2機(昭和4年頃導入。その後廃棄)、昭和6年に導入した「大型平台印刷機(デカ版)」1機(近年停止)、の計15機が稼働していたとあります。「動力式印刷機」がどのようなものか定かではありませんが、現在稼働している円圧式の動力機ではなく、平台式の動力機だったと思われます。
その後、手動式から動力式に順次移行して行き、戦後間もない昭和22年(1947)には「大全動力機」2機、「全紙動力機」3機、「手刷機」10機、「デカ版」1機の計16機。27年には「動力機」計4機、「手刷機」計4機の8機と記録されています。
昭和29年には、「手刷平台印刷」部門は廃止となり、印刷機は処分されましたが、何機か資料として残され、1機は博物館明治村に寄贈され、1機は便利堂本社に保管されています。
昭和30年以降は、円圧式の動力機が次々と導入され、最終的に前述した現在の6機体制となっています。

昭和39年頃(1964)の工房
上掲の写真は、今から50年前の昭和39年の工房の様子です。現在の工房の場所とは少し違っていますが、印刷機や全体の雰囲気はこの時代から今もほとんど変わっていません。

現在(平成26年)の工房
ちなみに、昭和39年の写真に写った紙差し作業を行っている紅顔の美少年は、上の写真で紙差しをしているベテラン職人・竹口さんの50年前の姿です。機械も職人もいい味がでてますね。

近年ワークショップで活躍中の小型レタープレス機(とりあえず欠番の「1号機」で呼びたいと思います。最近A3判をプリントできる、さらに大きなレタープレス機を導入しました。この詳細については、また追って。