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ハリバンアワード2018 グランプリ受賞者が京都にやってきました!!
Esther Teichmannさんが2週間の滞在で職人と一緒に作品を制作します。


とびきり輝かしい彩りをみせてくれた紅葉の頃もすぎ、師走となりました。アカデミーの溝縁です。便利堂社内も年末のあれやこれや、そして、もうすぐ迎えるゲストの事で盛り上がっていました! そしてついに今週より、そのゲストである2018年4月から開催された国際コロタイプ写真コンペティション“ハリバンアワード2018”のグランプリに輝いたエスター・タイヒマン(Esther Teichmann)さんが、京都にやってきました! 例年通り予定されている2週間にわたるレジデンスの間には、どんなドラマが待ち受けているでしょうか。

今年11月のパリフォトにて、エスターさんの作品が一面にフューチャーされた壁面の前でレジデンスに向けて気合が入るマイスター・山本。
レジデンスでは、コロタイプ職人と意見をかわしながら、コンペティションで選ばれた8枚のイメージをコロタイププリントに仕上げます。2週間という限られた時間の中で、欲しいトーンを導き出すことは、そう簡単ではありません。まして“コロタイプで作品をつくる”という体験は、大抵の作家にとっては初めてのことです。きっと彼女もどきどきしながら、京都の滞在を心待ちにしてくれていたと思います。

写真中央がエスターさん
さて、エスター・タイヒマンさんのことを紹介します。エスターさんは1980年に生まれ、現在はイギリスのロンドンに在住、Royal College of Art 芸術大学で教鞭をとりながら作家活動をされています。テキストも多く執筆され、その活動の一環として、展覧会を構成するキュレーターとしての役割も担っています。その幅広い活動領域は結果として、写真表現にとどまらない作家としての新しい価値観を生み出しています。 公式HPはこちら→http://www.estherteichmann.com/

来年春開催の成果展会場予定である無鄰菴のお庭にて
京都滞在を経て新しく生み出されるコロタイププリントは、成果展として2019年春にお披露目の予定となっています。会場は岡崎にある国指定名勝の旧山縣有朋別邸「無鄰菴」を予定しています。展覧会の詳細についてはエスターさんのレジデンスの結果報告とともに、あらためてお知らせいしたいと思います。

©Esther Teichmann
以下のインタビューは、便利堂でのレジデンスを前にその動機や期待について伺ったものです。ぜひご一読くださいませ。
Q. あなた自身についていくつかのことを教えてください。なにがきっかけで最初にあなたを写真へと導いたのでしょうか?
A. 私は沼地や湖や川に囲まれたブラックフォーレスト(黒い森)近くにある、ライン川渓谷の南ドイツの小さな村で育ちました。そこは夏の間はとても湿っているところで、夜には雷をともなった激しい嵐が吹き荒れたようなところでした。子供の頃に暗闇の中、私は父といっしょにバルコニーに静かに座り、嵐がやってくるのを見ながら、夕暮れの空を横切るコウモリとか、雷が一瞬青い森を照らし出す光景を見ていました。それらは言葉としてなかなか表現できないような様子で、私は興奮とピュアな喜びを感じていたのですが、おそらくそういったことが私を芸術家になりたいと思わせたきっかけだったと思っています。

©Esther Teichmann
Q. 作品を作るためのあなたのアプローチの仕方、それによってあなたが探求しているテーマについて説明してもらえますか?
A. 私の作品は、心の中に抱いている故郷を思う気持ちとか、喪失や欲望や虚偽などにまつわる関係性を探求しています。架空のステージとして作り上げた幻想的なイメージの中で、被写体たちは喪失感を抱いた犠牲者でどこへもたどり着くことができません。彼らは暗闇の中にまぎれこんだり、逆に暗闇の中から抜け出そうします。滴り落ちるインクによって画面が塗りつぶされていたり、液体のように漆黒の夜の空間を思わせたりします。私の写真や映像や書いたものは、自伝的であったり、小説のようであったり、または神話的であったりして、そういった異なったフィールドを相互に行き来することでなにか別のものに変化させようとしているのです。私のアプローチの仕方とは、新しいやり方によって断片が再構成され拡大していき、画像や映像やストーリーがひとつになり、その世界が広がっていくというのが最も言い当てた説明となるでしょう。

Q. あなたは便利堂の職人とコラボレートするために京都にいらっしゃるわけですが、自身自身の作品がどのようにコロタイププリントとして表現されることを望んでしますか? また、今回のハリバンアワード受賞によってあなたが最も楽しみにしていることはなんでしょうか?
A. 私は、写真史や写真のプロセスにとても興味を持っていて、今現在と想像上の未来との対話の中で、視覚的かつ物質的に時間と場所を行き来するような作業を行なっています。便利堂のアトリエにおいて、マスタープリンターたちと作業を集中してできるこのユニークな機会をとても光栄に思っていますし、心の底から楽しみにしています。また新作や書くことを思考を巡らすべく、あてどもなく京都の街を一人で歩き回ることも楽しみです。

事前に準備したテストプリントを自然光の中でチェックするエスターさん
Q. この制作を通してアーティストとしてどんなことを得ることを望みますか?
A. 私はしばしば新しいプロセスを学んでいるのですが、そういったときは情熱がありかつ熟練した人たちといっしょに作業をしながら習得することが大切だと考えています。そのことは私にインスピレーションを与えてくれるばかりか、新しい作品のアイデアを与えてくれます。今回コロタイプによって、私の作品が新たなる姿になるであろうことに興奮を覚えます。

エスターさんの社内向けレクチャー&トークショー。盛況のうちに終了しました。


とびきり輝かしい彩りをみせてくれた紅葉の頃もすぎ、師走となりました。アカデミーの溝縁です。便利堂社内も年末のあれやこれや、そして、もうすぐ迎えるゲストの事で盛り上がっていました! そしてついに今週より、そのゲストである2018年4月から開催された国際コロタイプ写真コンペティション“ハリバンアワード2018”のグランプリに輝いたエスター・タイヒマン(Esther Teichmann)さんが、京都にやってきました! 例年通り予定されている2週間にわたるレジデンスの間には、どんなドラマが待ち受けているでしょうか。

今年11月のパリフォトにて、エスターさんの作品が一面にフューチャーされた壁面の前でレジデンスに向けて気合が入るマイスター・山本。
レジデンスでは、コロタイプ職人と意見をかわしながら、コンペティションで選ばれた8枚のイメージをコロタイププリントに仕上げます。2週間という限られた時間の中で、欲しいトーンを導き出すことは、そう簡単ではありません。まして“コロタイプで作品をつくる”という体験は、大抵の作家にとっては初めてのことです。きっと彼女もどきどきしながら、京都の滞在を心待ちにしてくれていたと思います。

写真中央がエスターさん
さて、エスター・タイヒマンさんのことを紹介します。エスターさんは1980年に生まれ、現在はイギリスのロンドンに在住、Royal College of Art 芸術大学で教鞭をとりながら作家活動をされています。テキストも多く執筆され、その活動の一環として、展覧会を構成するキュレーターとしての役割も担っています。その幅広い活動領域は結果として、写真表現にとどまらない作家としての新しい価値観を生み出しています。 公式HPはこちら→http://www.estherteichmann.com/

来年春開催の成果展会場予定である無鄰菴のお庭にて
京都滞在を経て新しく生み出されるコロタイププリントは、成果展として2019年春にお披露目の予定となっています。会場は岡崎にある国指定名勝の旧山縣有朋別邸「無鄰菴」を予定しています。展覧会の詳細についてはエスターさんのレジデンスの結果報告とともに、あらためてお知らせいしたいと思います。

©Esther Teichmann
以下のインタビューは、便利堂でのレジデンスを前にその動機や期待について伺ったものです。ぜひご一読くださいませ。
Q. あなた自身についていくつかのことを教えてください。なにがきっかけで最初にあなたを写真へと導いたのでしょうか?
A. 私は沼地や湖や川に囲まれたブラックフォーレスト(黒い森)近くにある、ライン川渓谷の南ドイツの小さな村で育ちました。そこは夏の間はとても湿っているところで、夜には雷をともなった激しい嵐が吹き荒れたようなところでした。子供の頃に暗闇の中、私は父といっしょにバルコニーに静かに座り、嵐がやってくるのを見ながら、夕暮れの空を横切るコウモリとか、雷が一瞬青い森を照らし出す光景を見ていました。それらは言葉としてなかなか表現できないような様子で、私は興奮とピュアな喜びを感じていたのですが、おそらくそういったことが私を芸術家になりたいと思わせたきっかけだったと思っています。

©Esther Teichmann
Q. 作品を作るためのあなたのアプローチの仕方、それによってあなたが探求しているテーマについて説明してもらえますか?
A. 私の作品は、心の中に抱いている故郷を思う気持ちとか、喪失や欲望や虚偽などにまつわる関係性を探求しています。架空のステージとして作り上げた幻想的なイメージの中で、被写体たちは喪失感を抱いた犠牲者でどこへもたどり着くことができません。彼らは暗闇の中にまぎれこんだり、逆に暗闇の中から抜け出そうします。滴り落ちるインクによって画面が塗りつぶされていたり、液体のように漆黒の夜の空間を思わせたりします。私の写真や映像や書いたものは、自伝的であったり、小説のようであったり、または神話的であったりして、そういった異なったフィールドを相互に行き来することでなにか別のものに変化させようとしているのです。私のアプローチの仕方とは、新しいやり方によって断片が再構成され拡大していき、画像や映像やストーリーがひとつになり、その世界が広がっていくというのが最も言い当てた説明となるでしょう。

Q. あなたは便利堂の職人とコラボレートするために京都にいらっしゃるわけですが、自身自身の作品がどのようにコロタイププリントとして表現されることを望んでしますか? また、今回のハリバンアワード受賞によってあなたが最も楽しみにしていることはなんでしょうか?
A. 私は、写真史や写真のプロセスにとても興味を持っていて、今現在と想像上の未来との対話の中で、視覚的かつ物質的に時間と場所を行き来するような作業を行なっています。便利堂のアトリエにおいて、マスタープリンターたちと作業を集中してできるこのユニークな機会をとても光栄に思っていますし、心の底から楽しみにしています。また新作や書くことを思考を巡らすべく、あてどもなく京都の街を一人で歩き回ることも楽しみです。

事前に準備したテストプリントを自然光の中でチェックするエスターさん
Q. この制作を通してアーティストとしてどんなことを得ることを望みますか?
A. 私はしばしば新しいプロセスを学んでいるのですが、そういったときは情熱がありかつ熟練した人たちといっしょに作業をしながら習得することが大切だと考えています。そのことは私にインスピレーションを与えてくれるばかりか、新しい作品のアイデアを与えてくれます。今回コロタイプによって、私の作品が新たなる姿になるであろうことに興奮を覚えます。

エスターさんの社内向けレクチャー&トークショー。盛況のうちに終了しました。