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コロタイプギャラリー 「国際博物館会議京都大会開催記念 特別展示」のお知らせ
便利堂ブース&ワークショップ@ICOMも頑張ってます!

ICOM「ミュージアム・フェア」@EVENT HALL, 京都国際会館

秋の心地がほんの少し感じられ、過ごしやすい季節が待ち遠しい今日この頃、皆様いかがお過ごしでしょうか。便利堂コロタイプギャラリーの溝縁です!
今年、この初秋の京都を賑わせているのは京都国際会館を使用した大規模な催し「国際博物館会議 ICOM」の京都大会です!この企画は3年に一度、世界のどこかの都市で開催されるというもので、日本では初の開催となります。そして、幸運なことに、便利堂もICOMのプログラムのひとつ「ミュージアム・フェア」にブースを出させていただくことになりました! ⇒詳しくは、別記事「第25回 国際博物館会議京都大会 ICOM KYOTO2019始まります!」をご参照ください。

ミュージアム・フェアは無事昨日2日に初日を迎え、明日4日まで開催されます。便利堂のブース(E32)はこんな感じです。 また本日は、同じくミュージアム・フェアの会場の一つであるANNEX HALLのスペースにて、コロタイプワークショップを開催しました。会場にお越しの皆さまに、朝から途切れなくコロタイプの手刷りプリント体験をしていただきました。

さて、そのような大きな催しでプレゼンテーションできるのであれば、本社併設のコロタイプギャラリーやコロタイプ工房にもお越しいただき、ぜひコロタイプ作品を観ていただきたい!との思いから、古美術の複製や写真から現代アート作品まで、コロタイプの幅広さをお楽しみいただけるサテライト特別企画展を9月2日から開催しております!(10日まで)

ギャラリーに入ると、まず目に飛び込んでくるのが、酒井抱一(1761 - 1828)が描いた「夏秋草図屏風」の原寸大コロタイプ複製です(写真左)。原本は重要文化財であり、東京国立博物館に所蔵されています。元々は、尾形光琳が描いた「風神雷神図屏風」の裏に描かれていたというもの。現在は原本保護のために別々の屏風に改装されています。展示は、この現在の姿の複製ですが、これとは別に2015年に琳派400年を記念して、本来の姿である「風神雷神」「夏秋草図」両面の形に復元した複製も制作いたしました(⇒くわしくはこちら)。現代の、ごく一般的な日常生活の中で、屏風をゆっくりと眺める瞬間はなかなか得られないもの。まさに夏から秋へ季節の移ろいを感じながらこの屏風を眺めるひと時は、とても贅沢に感じられます。

その横には、しずかにゆったりと微笑むお顔のほとけさまは、大阪・観心寺の国宝「如意輪観音坐像」を大判にプリントしたコロタイプ写真です。その原板となっているガラス乾板は、おそらく前世紀中頃に撮影された貴重なものです(そのガラス乾板も、卓上に展示いたします)。当時、手刷りコロタイプで一枚一枚仕上げられていた希少なコロタイププリントを、改めて素敵なパネル装に仕立てた作品を展示しています。本年4月に便利堂より刊行されました第四版「国宝事典」(P.101)にも掲載されています。国宝事典も閲覧いただけるように配置いたしました。是非お手にとってご覧いただけたらと思います。

パネル装の仏様から目を落とすと、卓上に長く広々と広げられた女史箴図巻をご覧いただけます。この女史箴図は、大英博物館が所蔵しており、その全長は3.5mの絵巻です。4世紀末頃の東晋の画家、顧愷之の代表作といわれています。宮中の女官の心得を諭す場面が描かれており、鏡の前で髪を整える女官姿や、皇帝と話をする場面など、絵巻物さながらの想像をして楽しむことができます。
この複製は、いままでモノクロしかプリントできなかったコロタイプを、便利堂がカラーコロタイプで完成させた初めての複製です。作成は1965年から1966年にわたりました。当時、便利堂の写真工房が大英博物館を訪れ、この絵巻物を撮影し、持ち帰った画像から、このように見事なカラーコロタイプの複製を仕上げました。当時海外で撮影するということは、一大イベントだったに違いありません。その技量の幅を感じさせられます。

改めて壁面に目を移すと、そこには打って変わって現代的なカラー写真のコロタイププリントが。アメリカ、ニューヨークの1970年代を闊歩したソール・ライター(1923 - 2013)の写真群です。便利堂がソール・ライター財団と協同でポートフォリオを作成したのは2017年のこと。8イメージのカラー写真は、彼が生前に選んでいたものです。曇った窓ガラスの水滴越しの町の風景や、雨のイメージはどこか切なさを帯びており、写真を見入っていると、ふと自分もニューヨークの街角に佇んでいるかのような気分になります。

本展示最後の作品は、なんともモッテリとしたインキののりが特徴的なカラーコロタイププリントです。ふと、西洋の著名な画家の作品を思い出しますが、これは日本を代表する現代アーティスト、森村泰昌氏の「フェルメール研究2004」の一作をコロタイププリントとして仕上げたものです。絹本(けんぽん)と呼ばれる、絹を和紙に貼った紙が使用され、微小なインキの滲み具合がその独特の色の厚みを感じさせます。このカラーコロタイプは、いわゆるカラープロセス(CMYKによる4色刷り)をベースに独自のプロセスカラーを掛け合わせ、さらにその上に特色で刷り重ね、計12色で仕上げられています。何度も何度も刷り重ねられた油性のインキが、どこか油絵を思い起こさせるのかもしれません。
本展はICOMに合わせて開催されますが、どなた様もご覧いただくことができます。是非お近くにお越しの際は、お立ち寄りくださいませ。
【概要】
2019年9月2日(月)―9月10日(火) ※7日(土)、8日(日)は休廊
13:00 - 17:00
便利堂コロタイプギャラリーにて

ICOM「ミュージアム・フェア」@EVENT HALL, 京都国際会館

秋の心地がほんの少し感じられ、過ごしやすい季節が待ち遠しい今日この頃、皆様いかがお過ごしでしょうか。便利堂コロタイプギャラリーの溝縁です!
今年、この初秋の京都を賑わせているのは京都国際会館を使用した大規模な催し「国際博物館会議 ICOM」の京都大会です!この企画は3年に一度、世界のどこかの都市で開催されるというもので、日本では初の開催となります。そして、幸運なことに、便利堂もICOMのプログラムのひとつ「ミュージアム・フェア」にブースを出させていただくことになりました! ⇒詳しくは、別記事「第25回 国際博物館会議京都大会 ICOM KYOTO2019始まります!」をご参照ください。

ミュージアム・フェアは無事昨日2日に初日を迎え、明日4日まで開催されます。便利堂のブース(E32)はこんな感じです。 また本日は、同じくミュージアム・フェアの会場の一つであるANNEX HALLのスペースにて、コロタイプワークショップを開催しました。会場にお越しの皆さまに、朝から途切れなくコロタイプの手刷りプリント体験をしていただきました。

さて、そのような大きな催しでプレゼンテーションできるのであれば、本社併設のコロタイプギャラリーやコロタイプ工房にもお越しいただき、ぜひコロタイプ作品を観ていただきたい!との思いから、古美術の複製や写真から現代アート作品まで、コロタイプの幅広さをお楽しみいただけるサテライト特別企画展を9月2日から開催しております!(10日まで)

ギャラリーに入ると、まず目に飛び込んでくるのが、酒井抱一(1761 - 1828)が描いた「夏秋草図屏風」の原寸大コロタイプ複製です(写真左)。原本は重要文化財であり、東京国立博物館に所蔵されています。元々は、尾形光琳が描いた「風神雷神図屏風」の裏に描かれていたというもの。現在は原本保護のために別々の屏風に改装されています。展示は、この現在の姿の複製ですが、これとは別に2015年に琳派400年を記念して、本来の姿である「風神雷神」「夏秋草図」両面の形に復元した複製も制作いたしました(⇒くわしくはこちら)。現代の、ごく一般的な日常生活の中で、屏風をゆっくりと眺める瞬間はなかなか得られないもの。まさに夏から秋へ季節の移ろいを感じながらこの屏風を眺めるひと時は、とても贅沢に感じられます。

その横には、しずかにゆったりと微笑むお顔のほとけさまは、大阪・観心寺の国宝「如意輪観音坐像」を大判にプリントしたコロタイプ写真です。その原板となっているガラス乾板は、おそらく前世紀中頃に撮影された貴重なものです(そのガラス乾板も、卓上に展示いたします)。当時、手刷りコロタイプで一枚一枚仕上げられていた希少なコロタイププリントを、改めて素敵なパネル装に仕立てた作品を展示しています。本年4月に便利堂より刊行されました第四版「国宝事典」(P.101)にも掲載されています。国宝事典も閲覧いただけるように配置いたしました。是非お手にとってご覧いただけたらと思います。

パネル装の仏様から目を落とすと、卓上に長く広々と広げられた女史箴図巻をご覧いただけます。この女史箴図は、大英博物館が所蔵しており、その全長は3.5mの絵巻です。4世紀末頃の東晋の画家、顧愷之の代表作といわれています。宮中の女官の心得を諭す場面が描かれており、鏡の前で髪を整える女官姿や、皇帝と話をする場面など、絵巻物さながらの想像をして楽しむことができます。
この複製は、いままでモノクロしかプリントできなかったコロタイプを、便利堂がカラーコロタイプで完成させた初めての複製です。作成は1965年から1966年にわたりました。当時、便利堂の写真工房が大英博物館を訪れ、この絵巻物を撮影し、持ち帰った画像から、このように見事なカラーコロタイプの複製を仕上げました。当時海外で撮影するということは、一大イベントだったに違いありません。その技量の幅を感じさせられます。

改めて壁面に目を移すと、そこには打って変わって現代的なカラー写真のコロタイププリントが。アメリカ、ニューヨークの1970年代を闊歩したソール・ライター(1923 - 2013)の写真群です。便利堂がソール・ライター財団と協同でポートフォリオを作成したのは2017年のこと。8イメージのカラー写真は、彼が生前に選んでいたものです。曇った窓ガラスの水滴越しの町の風景や、雨のイメージはどこか切なさを帯びており、写真を見入っていると、ふと自分もニューヨークの街角に佇んでいるかのような気分になります。

本展示最後の作品は、なんともモッテリとしたインキののりが特徴的なカラーコロタイププリントです。ふと、西洋の著名な画家の作品を思い出しますが、これは日本を代表する現代アーティスト、森村泰昌氏の「フェルメール研究2004」の一作をコロタイププリントとして仕上げたものです。絹本(けんぽん)と呼ばれる、絹を和紙に貼った紙が使用され、微小なインキの滲み具合がその独特の色の厚みを感じさせます。このカラーコロタイプは、いわゆるカラープロセス(CMYKによる4色刷り)をベースに独自のプロセスカラーを掛け合わせ、さらにその上に特色で刷り重ね、計12色で仕上げられています。何度も何度も刷り重ねられた油性のインキが、どこか油絵を思い起こさせるのかもしれません。
本展はICOMに合わせて開催されますが、どなた様もご覧いただくことができます。是非お近くにお越しの際は、お立ち寄りくださいませ。
【概要】
2019年9月2日(月)―9月10日(火) ※7日(土)、8日(日)は休廊
13:00 - 17:00
便利堂コロタイプギャラリーにて