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早くも10年目! 「コロタイプ手刷りプリントのおもしろさ」展、好評開催中!

Posted by takumi suzuki on 05.2022 【コロタイプギャラリー】   0 comments   0 trackback
創業135周年の節目の年に祝・第10回!
2022年6月20日(月)~7月8日(金)@便利堂コロタイプギャラリー

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皆さんこんにちは。便利堂では社員自らが作品を作り、プリントの難しさや技術を体験し、学べる社員向けワークショップイベントを年に1回行い、創立記念日の7月1日前後の会期で「コロタイプ手刷りプリントのおもしろさ」展を開催しています。この恒例の社員WS展も早くも10年目を迎えました。そして本年は便利堂の創業135周年でもあります。さて、この記念すべき年に受賞した作品は? 本展のみどころを、展示を担当した清さんにお聞きしました。

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―――「コロタイプ手刷りプリントのおもしろさ」展、今年は記念すべき10回目ですね!
「大きな節目を迎えました。そもそも社員向けワークショップは、コロタイプ技術の魅力をより多くの人に知ってもらうために、まずは社員自らがコロタイプの魅力を知ろう!という思いから始まりました。単に技術の知識を持つのではなく、ワークショップでコロタイプを実践することで印刷の難しさや技師の技術力が実感としてわかります。さらに自分で満足できる作品を刷り上げたときの高揚感も体験できます。体験することでコロタイプの話にも力が入ります。そんなわけで社員それぞれが撮影した写真を持ち寄り、年に1回社内でコロタイプワークショップを行い、毎年創立記念日の7月1日頃に展覧会を開催しています。」

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―――この展示をごらんいただいて「ご自分でもやってみたい!」と、便利堂が開講している「コロタイプアカデミー」にご参加いただきワークショップを体験された方もいらっしゃいます。
「そうですね。コロタイプとは古くからある、写真を印刷するための技法のことで、その細緻な表現力から文化財の複製や、作家の作品作りにも用いられています。コロタイプでカラー表現ができるのは世界でもほかにはない、わたしたち独自の技術です。便利堂では一般の方にもコロタイプで作品をつくっていただけるよう「コロタイプアカデミー」を開講し、みなさんの興味に合わせて講師が指導しています。自分で撮った写真を自分でプリントする楽しさは格別です。ぜひ体験していただきたいですね。」

⇒コロタイプアカデミーについてくわしくは専用サイトまで
www.benrido.co.jp/academy

―――清さんは毎回展示を担当されています。10回目の今年はいかがでしたか?
「一段とすばらしかったです。毎年感じることですが、作品にはその人の人となりが垣間見えます。会社で合わせる顔とはまた違った印象の作品を見ると、その人の新しい一面を知ったような何ともうれしい気持ちになります。みんなセンスがいいなあとつくづく思いました。あともう1点、今年はぜひ色に注目してご覧いただきたいですね。そもそもコロタイプのインキにはたくさんの色があり、それを掛け合わせてさまざまな表現をします。今回の社員ワークショップでは黒、茶色、青の3色のインキが用意されていましたが、それをもとにセピア調や青みがかったグレーなど、それこそ人の数だけ色が生まれていて、色彩の豊かさに驚かされっぱなしでした。一つとして同じ色がないところに、コロタイプの面白さを感じましたね。」

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左より:マイスター山本とインキ、乾燥中のティシュー(中央上)とぬるま湯でゼラチンをふやかし中のティシュー、グリセリンをしみこませる(右上)とバックミュージック

―――確かに、色を重ねるたび新しい表現が生まれました。そういえば毎年参加していると、いろんなところでやり方が少しずつ変わっているのに気が付きます。
「コロタイプ研究所ではマイスター山本さんによって、日々、よりよい作品作りのための研究が行われています。もっとわかりやすく、もっとよい作品を、そんなマイスターのスタンスは社員ワークショップでも存分に発揮されています。ワークショップ用の版には、ティシューと呼ばれる写真フィルムに感光材を含ませたものを使用します。写真フィルムには表面にゼラチン塗布されていますが、このゼラチンが版になり、そこにインキを乗せてプリントします。そのティシューは印刷するために水でゼラチンをふやかしたあとグリセリンを含ませる必要があるのですが、今回はいつもは水ではなく、ぬるま湯を用いて、そのあとのグリセリンの工程でよりしみ込みやすくするという工夫がされていました。そうすることで版はたっぷりと水分を蓄え、そこに油性のインキがうまく合わさり無理なくプリントできます。そのおかげでしょう。今まで数枚で調子が悪くなっていたところ、なんと今年は多い人で10枚以上プリントできていました。進化を遂げる研究所の成果を社員が体験できる貴重なひとときでした。」 
⇒コロタイプティシューについて、くわしくはこちら

―――ワークショップの間、レコードプレーヤーから音楽が流れていましたね。
「これも今年のトピックスの一つですね。マイスター山本さんが中学の頃に買ったというプレーヤーで、参加者たちは矢沢永吉、山下達郎、大瀧詠一など、彼のレコードコレクションを楽しみながらプリントできました。そこから会話も生まれ、みんなのびのび楽しんでいたのが印象的でした。豊かな時間が流れていましたね。」

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―――本当ですね。さて、今回は10回目ということで特別な副賞が用意されました。
「例年、出展作品の中から社員と来場者の投票で優秀作品を決定し、見事受賞した人は便利堂創立記念式典(7月1日)で表彰されますが、今年はなんと副賞として各受賞者に「コロフル」による作品作りが贈られます。コロフルとは、コロタイプをリーズナブルな価格で気軽に注文していただけるオーダーサイトです。自分が撮影した写真を名刺やはがき、8×10サイズなどにプリントしていただけるよう、3つのラインナップをご用意しています。副賞の発表で、社員のみんなの士気が一気に高まりました。受賞者のコロフル取り組みの様子は後日、取材してくわしくお伝えいたします。コロフルを試してみたい!と気になっている方はぜひ楽しみになさってください。」

⇒コロフルについて詳しくは、こちらの専用サイトまで
www.collo-full.com

―――さていよいよ、記念すべき第10回社員WS展&創業135周年の節目の受賞結果はいかがだったでしょう?
「力作ぞろいで、毎回入賞者を決めるのが心苦しいですが。。。社内外の方々からの投票結果をもとに、恒例の4つの賞が選ばれました。投票には、修学旅行で京都を訪れた学生さんたちも参加していただいたんですよ。ではまず、ユニーク賞から順にご紹介します。」

◎ユニーク賞 西川さん「家族のカタチ」
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副賞〔コロフル:はがきサイズ&名刺〕

◎敢闘賞 白水さん「時がながれ、おぼろになる」
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副賞〔コロフル:はがきサイズ&名刺〕

◎社長賞 鈴木さん「ヤギ」
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副賞〔コロフル:名刺〕

◎最優秀賞 西村さん「来たー!」
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副賞〔コロフル:8×10サイズ&名刺〕

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みなさん、おめでとうございました!

この社員展では、コロタイプの技術を持たない社員たちが自分で撮った写真を手刷りでプリントしています。一枚として同じものがない手刷りの面白さをみなさまにも感じていただけるとうれしいです。今月20日まで開催中! ぜひお越しください。



【開催概要】
第10回 コロタイプ手刷りプリントのおもしろさ展
会期:2022年6月20日(月)~7月8日(金)
時間:平日10時~17時
休廊日時:全日12時~13時、および土日祝日はお休み
入場:無料
会場:便利堂本社1FコロタイプギャラリーⅠ
(京都市中京区新町通竹屋町下ル弁財天町 302)
主催:株式会社便利堂








プロフィール

takumi suzuki

Author:takumi suzuki
【コロタイプの過去・現在・未来。創業明治20年の京都 便利堂が100年以上にわたって続けているコロタイプ工房より最新の情報をお届けします】
Japanese:www.benrido.co.jp
English:www.benrido-collotype.today

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