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便利堂コロタイプギャラリー春季展 桑嶋維「朱殷:日本に在る色 / Shuan: The Color of Japan」始まりました!

Posted by takumi suzuki on 16.2023 【コロタイプギャラリー】   0 comments   0 trackback
2016年の初公開依頼、7年ぶりに「あの牛」が返ってきました! そのほか4シリーズ作も一堂に!
会期:2023年4月14日(金)~6月4日(日) @便利堂 コロタイプギャラリー 

桑嶋展1

 みなさんこんにちは! 『便利堂だより』でおなじみの前田です。山吹や菜の花が咲きほころび、外出が楽しい季節がやってきましたね。 コロタイプギャラリーでも本日から新しい展示「桑嶋維◎朱殷(シュアン):日本に在る色 / Shuan: The Color of Japan」が始まりました。。
 桑嶋さんは、広告、雑誌の撮影をこなす傍ら、2005年以降から『闘牛島・徳之島』(平凡社)、『朱殷』(求龍堂)などの写真集での作品発表や執筆活動を展開されています。今回の展示は、《極光》《真夏の死》《永遠のアイドル》《久遠》《羊羹 「夜の梅」》の5つのシリーズで構成されています。

桑嶋展2

 中でもそのサイズで目を引くのは、徳之島に生きた伝説の闘牛チャンピオンの全盛期と死に直面する様を写した巨大なポートレートのインスタレーション《真夏の死》です。鉄のフレームに囲まれたコロタイプ作品には、闘牛の盛り上がる筋肉、黒光りする毛並み、堂々たる体躯が余すところなく映し出されています。反対側に回ると、死を目前に一回り小さくなった身体と、それでもなお静かな光を宿す瞳に思わず吸い寄せられます。まるで目の前に闘牛がたたずんでいるかのような圧倒的な存在感は、ふと手を伸ばして作品に触れたくなるほどです。2016年にこのコロタイプギャラリーで発表されて以来、7年ぶりの里帰り展示となります。

  当時の記事はこちら 》》 桑嶋維コロタイプ写真展:真夏の死

桑嶋展3
ぜひ中に入って天井を見上げてください。そこにも作品が!

 桑嶋さんはコロタイプを選んだ理由を「印画紙とは違い、質量を感じたから」と話しています。「ただ作品が大きいというだけではなく、そこに質量がともなうことで見る人にリアルさを直に伝えてくれる。そのためにはどうしてもコロタイプでなければならなかった。」《真夏の死》には、実はある仕掛けが施されています。作品の内側が空洞になっていて、見る人が中に入ることで初めて作品が完成するのです。内側のフレーム部分の鉄はところどころ、人の手が触れる箇所が錆びています。「人が動物とともに暮らすには鉄が不可欠。だからこそ、鉄で闘牛をくるみたかった」と桑嶋さんは言います。「人が作品を見ることで、見る人に闘牛と一緒に時を重ねてもらいたかった。それがわかるように無垢な鉄を使い、人が触れると錆びるようにしています。人が老いるように、鉄が錆びていくことで、作品は変化しながらずっと生き続けていくんです。」

桑嶋展4
《永遠のアイドル》よりカラーコロタイプによる作品(右) 本邦初公開

そのほかのシリーズを簡単にご紹介すると、
・縄文時代に制作された「土偶」をモチーフにした作品《永遠のアイドル》
・縄文土器の中で「人」を用いて制作された土器をモチーフにした作品《久遠》
・和菓子の原点とも言え、室町時代から続く虎屋の羊羹「夜の梅」で谷崎潤一郎の「陰翳礼讃」を令和に再現した作品《羊羹 「夜の梅」》
・ネオン管の明かり、色は人間の欲望の象徴と捉えて、東京の街をネオンで描いた作品《極光》

桑嶋展5
《久遠》

 《永遠のアイドル》と《久遠》、この二つのシリーズのテーマは「愛」。「古代において人間の文化は「建築」か「絵画」の何方かに分かれていると言われていますが、ここ日本では「土器」、「土偶」という立体物がそれにあたり、言葉の無い時代において、これらは伝達手段でもあったんです。「土偶」、「土器」は言葉の無い手紙、現代のラブレターであり、それらに刻まれた(線刻)=メッセージを浮き彫りにすべく、ネガポジ反転でのプリントで制作しました。」
 《久遠》のシリーズでは、カラーとモノクロの2作品を2013年のロンドンでの個展に合わせてコロタイプで制作しました。今回は10年ぶり、日本では初の公開となります。

  当時の記事はこちら 》》 The Eternal Idol 「久遠―永遠のアイドル」

桑嶋展6
《羊羹 「夜の梅」》

 《羊羹 「夜の梅」》は、「在(存在)」のテーマにしています。和式建築のうす暗い部屋の中にあって、日の光を吸い取っては、ほのかに明るく光を放つ様は宇宙の中心、万物の存在の真ん中を見ているようです。

桑嶋展7
《極光》

 《極光》は、ネオンに彩られた街の喧騒を用いた光のペイントで各国の首都などを描くシリーズの「東京編」。街の喧騒(空気感)をフィルムに取り込もうと、レンズという壁を取り外して、ピンホールカメラで冬の夜の街を8時間かけて歩きまわり制作されているそうです。

 これらの作品をまとめる展示タイトル「朱殷」とは、日本で唯一、時間が経った血の色を表した言葉です。日本独自の言葉に、桑嶋さんは文化や日本人の正義感、どんな風に生きるかの指針となる道徳的な心を見たそうです。今回の展示では、彼が日本らしいと考える場所やものを厳選し、光や色がさまざまな手法で表されています。「作品は変化しながらずっと生き続けていく」と話す彼の言葉通り、見る人が自由に想像し、自由に色を付けながら、今回の展示をお楽しみいただけると幸いです。
百聞は一見にしかず。ぜひ、コロタイプギャラリーへお立ち寄りください。みなさまのお越しをお待ちしております!



便利堂コロタイプギャラリー春季企画展 桑嶋維「朱殷:日本に在る色 / Shuan: The Color of Japan」
会期:2023年4月14日(金)~6月4日(日)
開廊:10:00 〜 17:00
休廊:会期中無休、ただし 12:00 〜 13:00は休廊
入場:無料
場所:便利堂コロタイプギャラリー

※5月4日15時より作家によるトークショウを開催予定。

桑嶋展8


プロフィール

takumi suzuki

Author:takumi suzuki
【コロタイプの過去・現在・未来。創業明治20年の京都 便利堂が100年以上にわたって続けているコロタイプ工房より最新の情報をお届けします】
Japanese:www.benrido.co.jp
English:www.benrido-collotype.today

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