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APISコロタイプワークショップ予行練習しました
2012年9月9日コロタイプワークショップやります!

予行練習サンプル作品1:藤岡篤弘「寝顔」2012年8月8日撮影:愛娘・佑羽(ゆう)ちゃんのポートレイト
来月開催されます「オルタナティブ・プロセス国際シンポジウム」(Alternative Processes International Symposium 2012 Tokyo)で行うコロタイプワークショップの参加者を募集中です! ⇒詳細はこちら (定員に達しました!ありがとうございます)
前日8日のカンファレンスに参加された方は見学自由ですので、参加も見学もお待ちしています!
ちなみに、カンファレンスの「デジタルネガシンポジウム」にSkypeで参加されるQTR ネガティブ開発者のロン・リーダー氏 Ron Reederに来週シアトルでお会いする予定です。今回のシアトル行は、カーボンカラープロセスでプリント製作をしているTod Gangler氏に工房を見せてもらい、そのプロセスを勉強させてもらうためです。これについてもまたご報告できればと思っています。
予行練習①:レシピ調合~ゼラチン版作成:2012年8月7日夜
便利堂コロタイプ工房創設以来、初の取り組みである本格的なワークショップを開催するにあたり、参加していただく方々に少しでも多く満足していただけるよう、昨日と一昨日の2日間にわたって予行練習を行いない、段取りの確認や改善課題をチェックしました。
受講者役は小生と営業の藤岡くんの2名で、ふたりとももちろんコロタイプの実作業の経験はありません。1日目はゼラチン感光液の調合とゼラチン版の作成までを行いました。
◎ゼラチン感光液の調合 ⇒詳しくはこちら「コロタイプ技法解説:1」

ゼラチンの計量:2種類のゼラチンを計量し、ボウルに入れる(実際は手袋着用)

精製水を加えてかきまぜ、しばらく置いてゼラチンを膨張さす

同様に、重クロム酸アンモニウム、重クロム酸カリウム、硝酸鉛についてもそれぞれ計量し、水を加える

10分ほど置き、ゼラチンが適度に膨張したら、各薬品とともに湯煎に掛ける。ゼラチンと薬品が溶解したら、まずアンモニウム塩とカリウム塩をゼラチンに加え混合する。次に別途計量した安息香チンキとアルコールを加える

最後に硝酸鉛を加えると明るい黄色に変化する。これで調合は終了
◎ゼラチン版の作成

本来ならば「一次濾過」「冷却して一晩寝かせる」「ふたたび湯煎」となるが、省略し二次濾過を想定しての作業

下引き液の調合

下引き液の塗布

乾燥

ガラス板にゼラチン感光液を塗布する

余分な液を流し、ゼラチンが均等になるように版を振る

ゼラチンを引き終えたら乾燥さす

今回はワークショップ用に手作りした乾燥機を使用。段ボール箱に布団乾燥機を接続。約10分程度乾燥してゼラチン版の完成
定時後6時半から始め、ここまで約2時間でした。ワークショップ当日はここまでを午前中に行う予定です。
予行練習②:写真データの入稿~デジタルネガ出力~露光:8月8日AM
◎データの入稿
プリントするにはプリントサイズのネガが必要となります。今回のワークショップでは、事前にデータを当方に送っていただき、こちらでデジタルネガをご用意しようと思っています。オプションでアナログネガや自作デジタルネガを当日持ち込んでいただき使用することも可能です。
予行練習のサンプル画像として、藤岡くんと私がそれぞれ自分が撮影した写真データを用意しました。いずれも当日の朝に撮影したものです。これをフォトショップでワークショップ用にリサイズ(約150×100㎜:400dpi)しインクジェットでネガ出力します。

サンプル作品1:藤岡作品の元データ。出勤前にまだぐっすり寝ている娘をコンパクトデジカメで撮影

サンプル作品2:当方作品の元データ。何を撮ろうかと思ってたところ、なぜか手元にあった壊れたハニワの頭部が目に止まり、会社の屋上にてスマホのカメラで撮影

出力したデジタルネガ
◎露光

出来あったデジタルネガを昨日作成したゼラチン版に密着さす

重しにガラス板を載せる

天日での露光。ワークショップ当日も天気が良ければ天日露光の予定。昨日は快晴で日差しの強い午後2時だったので5分の露光時間とした

裏からも露光し(裏焼き)版全体をカブらせ版の強度をつける。1分30秒。全体が感光してゼラチンが茶色くなっているのがわかる

水を入れ替えながら約30分の水洗

水洗後乾燥

焼き付けられた画像の様子
予行練習③:レタープレス機によるプリント:8月8日夜
ここまで準備が整うと、いよいよメイン作業のプリントになります。自分の撮った写真を薬品調合からプリントに至るまですべての工程を自分自身で行ってプリントするのは、便利堂コロタイプ工房100余年の歴史においても今回が初めてのことだと思います。
コロタイプの原理についてはこちら⇒「コロタイプとは?」

プリント作業のセッティング

焼付乾燥したゼラチン版を再び水に10分程度ひたしゼラチンを膨潤させる

その間にグリセリン溶液をつくる(水とグリセリン原液を1:1で混合)

続いてインキ練りを行う。コツがいる難しい作業なのでプリンターに助けてもらいながら

水から引き上げグリセリン溶液に浸す

余分な水分を吸い取り紙でとる

適度に水分を含み膨潤したゼラチン版

手ローラーにインキをつけ

ゼラチン版にインキングを行う

一応これぐらいのところで調子を見るために一度プリントしてみることに

イメージのまわりにマスキングをして

紙をのせる(今回は和紙を使用)

クッションをのせ

レタープレス機にかける

さらに圧の調整としてもう1枚紙を重ねた

プリント1号。全体に調子が強く荒れている

工房長山本のサポートも受けながらイメージする調子に調整していく

何枚か試し刷りを繰り返し、最終プリントの版の調子。最初のときとインキングの状態の違いがわかる

右:プリント1号、中:途中のうちの1枚、左:最終プリント(拡大は文頭) 赤ちゃんらしい肌のモッチリ感もうまく出たのでは。人物はなかなか難しいです

インキングの状態

左よりプリント1号から4号(完成) 最初はハイライトのハニワの部分になかなかインキが入らず、徐々に濃くしていった

予行練習サンプル作品2:「欠けハニワ」2012年8月8日撮影
ここまでで約1時間半。けっこう盛り上がります。当日は紙もいろいろと用意していきますので、時間の許す限りいろんな表現にチャレンジしていただければと思っています。
藤岡くんの感想
「コロタイプ手摺りはアートフェア京都で体験していましたが、それは与えてもらった版をコロコロ廻しただけ。今回は薬剤の調合から版づくり、インキ練りまで自分の手で。もちろん製版・印刷技師のサポートがあってこその完成ですが、これまで頭でなんとなくわかったつもりのコロタイプへの理解が深まりました。そしてなにより自らの撮影写真を原稿にしてもらえたので、刷り上がりに対する愛着はまったくちがいます。朝にパチッと撮った写真が夜にはコロタイプ百年プリントに。なんだか不思議で、とても楽しい時間でした。」

予行練習サンプル作品1:藤岡篤弘「寝顔」2012年8月8日撮影:愛娘・佑羽(ゆう)ちゃんのポートレイト
来月開催されます「オルタナティブ・プロセス国際シンポジウム」(Alternative Processes International Symposium 2012 Tokyo)で行うコロタイプワークショップの参加者を募集中です! ⇒詳細はこちら (定員に達しました!ありがとうございます)
前日8日のカンファレンスに参加された方は見学自由ですので、参加も見学もお待ちしています!
ちなみに、カンファレンスの「デジタルネガシンポジウム」にSkypeで参加されるQTR ネガティブ開発者のロン・リーダー氏 Ron Reederに来週シアトルでお会いする予定です。今回のシアトル行は、カーボンカラープロセスでプリント製作をしているTod Gangler氏に工房を見せてもらい、そのプロセスを勉強させてもらうためです。これについてもまたご報告できればと思っています。
予行練習①:レシピ調合~ゼラチン版作成:2012年8月7日夜
便利堂コロタイプ工房創設以来、初の取り組みである本格的なワークショップを開催するにあたり、参加していただく方々に少しでも多く満足していただけるよう、昨日と一昨日の2日間にわたって予行練習を行いない、段取りの確認や改善課題をチェックしました。
受講者役は小生と営業の藤岡くんの2名で、ふたりとももちろんコロタイプの実作業の経験はありません。1日目はゼラチン感光液の調合とゼラチン版の作成までを行いました。
◎ゼラチン感光液の調合 ⇒詳しくはこちら「コロタイプ技法解説:1」

ゼラチンの計量:2種類のゼラチンを計量し、ボウルに入れる(実際は手袋着用)

精製水を加えてかきまぜ、しばらく置いてゼラチンを膨張さす

同様に、重クロム酸アンモニウム、重クロム酸カリウム、硝酸鉛についてもそれぞれ計量し、水を加える

10分ほど置き、ゼラチンが適度に膨張したら、各薬品とともに湯煎に掛ける。ゼラチンと薬品が溶解したら、まずアンモニウム塩とカリウム塩をゼラチンに加え混合する。次に別途計量した安息香チンキとアルコールを加える

最後に硝酸鉛を加えると明るい黄色に変化する。これで調合は終了
◎ゼラチン版の作成

本来ならば「一次濾過」「冷却して一晩寝かせる」「ふたたび湯煎」となるが、省略し二次濾過を想定しての作業

下引き液の調合

下引き液の塗布

乾燥

ガラス板にゼラチン感光液を塗布する

余分な液を流し、ゼラチンが均等になるように版を振る

ゼラチンを引き終えたら乾燥さす

今回はワークショップ用に手作りした乾燥機を使用。段ボール箱に布団乾燥機を接続。約10分程度乾燥してゼラチン版の完成
定時後6時半から始め、ここまで約2時間でした。ワークショップ当日はここまでを午前中に行う予定です。
予行練習②:写真データの入稿~デジタルネガ出力~露光:8月8日AM
◎データの入稿
プリントするにはプリントサイズのネガが必要となります。今回のワークショップでは、事前にデータを当方に送っていただき、こちらでデジタルネガをご用意しようと思っています。オプションでアナログネガや自作デジタルネガを当日持ち込んでいただき使用することも可能です。
予行練習のサンプル画像として、藤岡くんと私がそれぞれ自分が撮影した写真データを用意しました。いずれも当日の朝に撮影したものです。これをフォトショップでワークショップ用にリサイズ(約150×100㎜:400dpi)しインクジェットでネガ出力します。

サンプル作品1:藤岡作品の元データ。出勤前にまだぐっすり寝ている娘をコンパクトデジカメで撮影

サンプル作品2:当方作品の元データ。何を撮ろうかと思ってたところ、なぜか手元にあった壊れたハニワの頭部が目に止まり、会社の屋上にてスマホのカメラで撮影

出力したデジタルネガ
◎露光

出来あったデジタルネガを昨日作成したゼラチン版に密着さす

重しにガラス板を載せる

天日での露光。ワークショップ当日も天気が良ければ天日露光の予定。昨日は快晴で日差しの強い午後2時だったので5分の露光時間とした

裏からも露光し(裏焼き)版全体をカブらせ版の強度をつける。1分30秒。全体が感光してゼラチンが茶色くなっているのがわかる

水を入れ替えながら約30分の水洗

水洗後乾燥

焼き付けられた画像の様子
予行練習③:レタープレス機によるプリント:8月8日夜
ここまで準備が整うと、いよいよメイン作業のプリントになります。自分の撮った写真を薬品調合からプリントに至るまですべての工程を自分自身で行ってプリントするのは、便利堂コロタイプ工房100余年の歴史においても今回が初めてのことだと思います。
コロタイプの原理についてはこちら⇒「コロタイプとは?」

プリント作業のセッティング

焼付乾燥したゼラチン版を再び水に10分程度ひたしゼラチンを膨潤させる

その間にグリセリン溶液をつくる(水とグリセリン原液を1:1で混合)

続いてインキ練りを行う。コツがいる難しい作業なのでプリンターに助けてもらいながら

水から引き上げグリセリン溶液に浸す

余分な水分を吸い取り紙でとる

適度に水分を含み膨潤したゼラチン版

手ローラーにインキをつけ

ゼラチン版にインキングを行う

一応これぐらいのところで調子を見るために一度プリントしてみることに

イメージのまわりにマスキングをして

紙をのせる(今回は和紙を使用)

クッションをのせ

レタープレス機にかける

さらに圧の調整としてもう1枚紙を重ねた

プリント1号。全体に調子が強く荒れている

工房長山本のサポートも受けながらイメージする調子に調整していく

何枚か試し刷りを繰り返し、最終プリントの版の調子。最初のときとインキングの状態の違いがわかる

右:プリント1号、中:途中のうちの1枚、左:最終プリント(拡大は文頭) 赤ちゃんらしい肌のモッチリ感もうまく出たのでは。人物はなかなか難しいです

インキングの状態

左よりプリント1号から4号(完成) 最初はハイライトのハニワの部分になかなかインキが入らず、徐々に濃くしていった

予行練習サンプル作品2:「欠けハニワ」2012年8月8日撮影
ここまでで約1時間半。けっこう盛り上がります。当日は紙もいろいろと用意していきますので、時間の許す限りいろんな表現にチャレンジしていただければと思っています。
藤岡くんの感想
「コロタイプ手摺りはアートフェア京都で体験していましたが、それは与えてもらった版をコロコロ廻しただけ。今回は薬剤の調合から版づくり、インキ練りまで自分の手で。もちろん製版・印刷技師のサポートがあってこその完成ですが、これまで頭でなんとなくわかったつもりのコロタイプへの理解が深まりました。そしてなにより自らの撮影写真を原稿にしてもらえたので、刷り上がりに対する愛着はまったくちがいます。朝にパチッと撮った写真が夜にはコロタイプ百年プリントに。なんだか不思議で、とても楽しい時間でした。」
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