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自家製コロタイプのススメ

Posted by takumi suzuki on 04.2013 【コロタイプ、やりませんか collotype academy】   0 comments   0 trackback
独自にコロタイプにチャレンジする「なに活」さん

『印刷に恋して』
『印刷に恋して』 著/松田哲夫 イラスト/内澤旬子 晶文社
A5変型 200頁 2730円(本体2600円)
4-7949-6501-X C0072 〔2001年〕


 
 先日、2回目のレギュラーワークショップも好評のうちに無事終えることができました。このワークショップを始めるにあたって抱いていたことは、「誰か一人でも、自分でコロタイプをやってみよう」という人が現れないかな、というほのかな期待でした。でもまあ、そんな方はなかなかいないよなぁ、と思っていたら現れました! しかも思っていたよりも結構早く!

 大阪で活動されている「なにわ活版研究所」 (なに活)の大西祐一郎さんです。大西さんは活版だけでなく印刷についての造形も深く、コロタイプにも興味を持っていただきワークショップにも参加していただきました。そしてそれを機に、自分でコロタイプをやってみようとチャレンジを開始されました。今回は、そのあたりについて大西さんに寄稿いただきましたので、その挑戦の一部始終をご紹介させていただきます。


寄稿:なにわ活版研究所 大西祐一郎氏
■コロタイプワークショプ参加記

初めてコロタイプについて知ったのは、 『印刷に恋して』 (松田哲夫著、イラスト内澤旬子、晶文社、2001年)という本を手にした時でした。
ガラス板に感光液を塗って版を自作しなければならない(上半身裸で!)ことや、ハーフトーンスクリーン(網点)を用いずに連続階調を表現できること、時には10色以上の特色を用いてカラー印刷を行っていることなど、平版と凹版の性質を併せ持つ不思議な印刷方式として私の記憶に刻まれました。
それから10年後、2011年に工房見学にお邪魔してからコロタイプはますます気になる存在になりました。

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4月20日 1回目のワークショップ参加

今年の4月にワークショップを開催される事を知った時、大喜びで参加申し込みをさせていただきました。
インキの硬さや、インキローラーを転がすスピードによって印刷結果が異なることに驚き、版画や写真フィルムのプリントの感覚に似た面白さに魅せられました。
機会があればまた参加したいと思っていたところ、8月のワークショップに娘と一緒に参加させていただくことができました。
最年少のコロタイパーと呼ばれてご機嫌の娘と数種類の和紙を刷り比べ、インキングや用紙によって変わるニュアンスをたっぷり楽しませていただきました。
スタッフの皆様方、大変お世話になり有難うございました。

IMG_1088[1]
8月31日 2回目のワークショップ参加

私のライフワークである活版印刷では、細密な写真を刷る場合(ハーフトーンスクリーン133線~)には平滑な用紙を選ぶ必要がありますが、コロタイプでは写真と和紙との相性が良い点に惹かれます。
自分の活版印刷機でコロタイプに挑戦したくて、5月から製版の練習をはじめました。
いまは失敗ばかりですが、いつの日か文字を活版で、挿絵をコロタイプでという本を作りたいと夢見ています。


■自家製コロタイプ日記

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2013年04月30日
ワークショップで譲っていただいた刷版。活字の高さに合わせれば、活版印刷機でコロタイプ版が刷れるのではと妄想中 :-)

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2013年05月14日
刷版ガラス出来

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2013年05月15日
湯煎機を格安でGET!

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2013年05月22日
コロタイプインキ入手

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2013年05月24日
端材を使って刷版用水平台の工作

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2013年05月27日
銀塩、鉄塩、クロム塩…古典印画の世界を覗いてみたくなりました

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2013年05月29日
ゼラチンの種類って、用途によってたくさんあるんですね。商社さんに相談したら、サンプルを送ってくださいました。コロタイプの自家製版というと一寸驚かれた様子でしたが、興味深いお話しを沢山聞かせていただきました

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2013年06月01日
コロタイプの自家製版に必要な材料が揃ったので、デジタルネガの検証をしています。究めようとすると、これも大変奥が深い世界です

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2013年06月10日
ゼラチン膨潤スタート

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2013年06月10日
自家製ゼラチン溶液完成

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2013年06月11日
コロタイプの製版が終わり、水洗をしています。ちゃんと刷れるかドキドキです

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2013年06月12日
記念すべき第一版は失敗でした…

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2013年06月14日
刷版の練習3版目。ゼラチンも上手く引けるようになってきたけど、完璧には程遠い。しかも室温が30℃いっているせいか、ハイライトにインキを入れようとするとカブりが出てしまう…


(まだまだ大西さんの挑戦は続きます。。)

⇒なにわ活版研究所 http://kappan.did.co.jp/

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【コロタイプの過去・現在・未来。創業明治20年の京都 便利堂が100年以上にわたって続けているコロタイプ工房より最新の情報をお届けします】
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English:www.benrido-collotype.today

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